値上げ予告

10月1日に値上げします。
全部ではなくて「植木鋏」と「生花鋏」を。
(刈込鋏や包丁は今のところ変わりません。)

理由を書きますね。

おかげさまででうちの鋏を選んでもらって、まあまあの数の全国各地の植木屋さんに使ってもらえてるとこまで来ました。
そんな中、実際使ってくれている植木屋さんに

「こうゆう刃付けした方がいいっすよ。」

というアドバイスをいただきました。
1人ではなくいくつかの方向から同じ意見が届いてくる。

頭で考えてみて

「そうしたら切れ味が良くなるのはわかる。でも弱くならんかなぁ。欠けて返品増えたりせんかなぁ。」

「大丈夫です!笹岡さんとこの刃は強いきそんなことにはならんと思います!」

2年くらい前からそんな声を聞いていて、いつかチャレンジするよ…、とは思っていたけどなかなか踏ん切りがつかず。
正直、めちゃくちゃ手間かかるのです。

簡単に言うと機械で仕上げていたところを手作業で仕上げるようにするのです。手研ぎというやつです。
時間は何倍もかかるし、何より腕と肩が大変なことになる。

「今でも1〜2ヶ月お待たせするくらいいっぱいご注文もらっていっぱい仕事しゆうのに、その仕上げ方に足突っ込んだらどうなるがやろ」と思う2年前の僕でした。

それでも何度か新しい仕上げ方を試しにやってみて、自分で枝や葉っぱを切ってみたり。

いやー、これ大変!腕痛い!使い手じゃないき違いがあんまりわからん!砥石すぐ減る!と思ってみたり。
これをアドバイスもらった植木屋さんに使ってもらってOK出たら切り替えようと考えてみたり。

 

そんな風にグズグズする僕を動かしたきっかけはテレビの取材でした。昨年11月に取材に来られた『イッピン』さんです。

鋏の刃付けの映像を撮られるのに手研ぎでやっちゃった。
「お使いになってくれているユーザーさんの声を取り入れて、最近はこうやって仕上げてます。」って言っちゃった。

言っちゃったもんはやらんといかんなるよね。
少なくとも放送される1月にはそうなってないと嘘になるもんね。やりました。

(カッコつけてやらざるを得なくなるいつもの得意技です。実際の放送では上のセリフはカットされていたのだけれど。)

2種類の仕上げが混在していた昨年末の少しの移行期間を経て、今年に入っての販売分は全て手研ぎでやりました。
だってその部分カットされると思ってないし。
『イッピン』さん放送後の怒涛のご注文の鋏もそれから後のご注文も全て前より時間のかかる新しい仕上げ方でやってきました。

最初に不安に思った「欠けました。返品します。」の声はなく。
もしかして泣き寝入っている方がいたならごめんなさい。その場合は是非声をこちらに届けてください。お取り替えでもご返品でも対応します。

「これが成功したら値上げしよう」と思いながら取り組んできて、8ヶ月経って行けそうなので値上げします。

こんな流れです。

前回の値上げはホームページリニューアルの2017年12月でした。3年8ヶ月前。
その前はほぼ価格改訂なしで十数年。
2017年の値上げの理由はこんな感じ。

つまり、十年以上お客さまに届け続ける中で自分の中でじわじわ積み上げてきた「品質の向上」と「需要の増加」でした。

 

今回はもっと明確。
ある工程を、最後の刃付けを劇的に変えました。(使い心地が劇的に変わってなかったらごめんなさい。)

値上げ幅もちょっと思い切ります。
注文が増えて稼ぎも増えてはきたけれど、労働時間で割ったらどうよ。

稼ぎ増えた分、ただ残業しゆうだけじゃんか。

1人雇ったら経営者の取り分全然残らんかったじゃんか。

 

 

未来の鍛治屋のあるべき姿は週休2日です。
その上で、少なくとも高知で働く同世代の銀行マンや公務員さん達と同じくらい稼ぐこと。

(49歳の県庁職員さんはいくら稼ぎゆうか誰か教えてください。)

 

 

次世代に繋ぐためにこれを実現したいです。
もうほんとにこれ使命。

そのために頑張って値上げします。

値上げして注文激減したらまたあれやこれやがんばります。
あちこち回って包丁研ぎ直しを集めて回ることからまた始めます。

 

「高いけど。高くなったけど、ここの品を買おう」と思ってもらえる作り手になる。これ理想。

 

10月1日、ご期待ください。

あと1ヶ月、今の値段でやります。
駆け込み需要も少しだけ期待してます。

よろしくお願いします!

 

 

 

 

 

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