前々回書いた進む方向についてもう一つ。
土曜日に須崎の包丁鍛冶さんがうちに寄ってくれて話をしました。
この方は自分で作って都会のデパートの職人展とかへ売りに出てます。
問屋さんへの卸しが主の土佐の鍛冶屋さんの中では珍しい形態。
デパートで売る大変さ、掛かる経費なんかの話を聞きました。
「もしデパートに売りに行くやったら気をつけるべきこと教えちゃお。いつでも言うて来や。」
ありがたいことです。
でもやっぱりこっちへも向かわないと思いました。
名前を売ったりランクが高く見られたりってメリットは確かにあると思います。でもなぁ…。
少し前にまた別の高知の刃物屋さんがアメリカに刃物のお店を出すって記事が新聞に出てました。このパワーとテクニックとチャレンジ精神はすごいなぁと思います。
ここで僕の考え方。
地元いの町の家庭全部にうちの刃物を使ってもらえればずっと仕事出来るでね。
それは言い過ぎにしても高知市その他周りの町まで広げたらターゲットはいっぱいじゃん、と思います。
砥ぎ直しに持って来てもらえる距離、範囲。そこを狙う。売りっぱなしはさびしい。
ホームページでも販売してるので県外にも出してますけど、わざわざ探して見つけて買ってくれるお客様ははさみ屋の存在場所を知ってくれてます。
そう頻繁にはやり取り出来ませんが何かあったら連絡もらえるし、いざという時は頼ってもらえる距離。
全部が全部とはいかんかもしれんけど、きちんと繋がれちゅう感覚。
県外のイベントへ売りに出て行っても同じようにその感覚を持ってもらえるように接客・販売していきたい。
せっかく直接やりとりするのだから、必ず作り手の居場所を明示してお客様が求めてくれれば誰がどこで作ったか、どこへ問い合わせたら砥ぎ直し出来るかわかるように。
広がるのを拒むわけではなく、大きな経費をかけたり大きな投資をしたりして無理やり広げんでもいいんじゃないの?って。
近くの人に好きになってもらえればじわじわでもきっと広がるはずでね。これ大事。絶対大事。実は一番難しいことながかもしれんけど。
仕事の量として減りつつあるけれどベースに問屋さんや小売店さんへの卸し(親父さんが築いて来たもの)があるからこそこんな風に言えるのかもしれません。
地元の仲間の農家さんにも加工品を都会で売ろうとがんばってるとこもあります。それはそれで大正解だと思います。品が良いなら広めんといかん。
まぁ、地理的条件とか技術的な違いがあって何がベストな道かはそれぞれだとは思いますが、鍛冶屋って言ってもいろんなやり方があるんだなぁ、俺はこう思うなぁ、って考えたここ数日間でした。
こうやって文章にするとその考えにとらわれ過ぎて凝り固まってしまいますが(僕の悪いとこ)、いろんな人の話を聞いて理解した上で凝り固まっていけたらいいなぁ、と思います。
もし、いの町みんなが使ってくれたら周りの町の人達も使ってみたくなるはず。
高知のみんなに使ってもらえたら日本中に広がる可能性だってあるでね。
おー、前途洋々。
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