人は一生のうちに何丁はさみを買うがやろ。はさみ屋は何丁作るがやろ。
今日は久しぶりの(って言っても1ヶ月ぶりやけど)おかみさん市。今年は春からいの町内でのイベントがいっぱいあったので1ヶ月ぶりに売りに出るとかなり久しぶりの感じがします。
普段より品揃えが充実してます。しっかり作れたのか売れてないのか。
先日お取引先の問屋さんが特注の鋏の見本を持ってお店に来られました。
その時にうちの包丁を見てくれて「包丁もやってるんですね。どれくらいで卸せます?」って聞かれました。
話を聞くと土佐の刃物業界では包丁鍛冶さんが忙しくて供給が間に合ってないそうです。
ですが、うちの場合は包丁はすべて手で砥いで仕上げてるので値段が合いません。逆にどれくらいで仕入れてるのか聞くと普通の万能包丁で一丁数百円…。うちの砥ぎ代と変わらんじゃん。そりゃ新規買いやって言いたくなるね。
問屋さん(場合によっては複数の)を通って小売店に並んで2000~3000円で売られてるので当たり前ながやけど。
「一回に200~300丁は注文出しますよ。」
「もっと手間省いた方法で数出来る様になったらまた声かけて下さい。売りますよ。」って言われました。
無理です。
そっちには向かいません。
それが向いてる職人さんもいると思いますが僕には向いてない。
あらためて自分の目指す方向を確認。
休み削って自分で売りに出て来てもそう簡単には売れんがやけどね。今まさに実感中。
「武士は喰わねど…じゃやっていけんろうが!」って親父と議論したこともあります。
でも、高楊枝の方から買いたくないっすか?もちろん喰わんといかんがやけど。
偉ぶるわけではありません。周りより少しお値段高くなっても少しお待たせしてしまっても、それによって売り先を増やすことが出来なくても、より良い品を作って出そう、っていう意味で意地張ろうぜってことです。
つまり、喰って行くための高楊枝だと信じてがんばっております。
餓死しませんように…。
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