次の日。
お昼にとっしゃん家でアヒアンのイスラエル料理をごちそうになってから再び工場へ。
どんなナイフを作りたいかを聞いてオヤジさんにアヒアンを預けました。オヤジさんあっさり引き受けてくれます。こういうとこやっぱりでかいね。
教える職人と教わる旅人。
鋼材を焼いてハンマーで叩いて延ばしてざっくり形を作ってからグラインダーで成形。さらに細かいバフで磨くとこまでアヒアン自力。
焼き入れはオヤジさんがやりました。
その後また習いながらアヒアンが自分で機械で砥いだところで
僕の出番。砥石で刃を付けて出来上がり。
「出来たよ。」って渡してあげるとうれしそうな笑顔。
「スゴイ…。イチニチデ…。」
自分のヒゲに刃を当てながら
「オー…、シャープ…。」
本当にうれしそう。
なぜだかアヒアンナイフは7丁も出来ていたので最後の2つは仕上げ砥ぎも自分で。
「むずかしい?」
「ムズカシイ。デモ、ムズカシイハイツモオモシロイ。」
苦労しながら刃付けも終わり、最後に椿油で拭き上げてアヒアンナイフ7丁完成。
ケースを付けて「どうぞ。」って言ったら「ゼンブ?」って。
「イスラエルに持って帰って友達にあげればいい。これから旅の途中でお世話になった人にプレゼントすればいい。『ボクガツクリマシタ。』ってね。」
「オー…。アリガトウ。」
仕事を終えて再びとっしゃん家で晩ごはん。
さっそく2晩泊めてくれたとっしゃんにナイフをひとつプレゼント。めちゃ誉めてくれて喜んでくれたね。
その日は8時から用事があったのでお別れです。
「アヒアン、I have to go….」
握手しました。ハグしてくれました。
「アー、ササオカサン、ホントニスベテノexperienceガオモシロイデシタ。アリガトウ。」
「いえいえ、どういたしまして。じゃあね、バイバイ。」
クールにお別れしました。
うれしそうなはにかんだ笑顔がめちゃくちゃかわいいやつでした。いい子でした。
その晩、もう二度と会えんがやぁ…って思ったらさびしくなりました。
翌朝も仕事しながらずっとさびしいさびしいって思ってました。
お別れの時に
「俺も楽しかった。またおいで。」
ってきちんと伝えればよかったなぁ…。
元気でね、アヒアン、またおいで。
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