鍛冶屋日記

日: 2020年7月21日

「よう切れよったのになんか固いもん切ったら先が開いて切れんなった。なんとかなる?」っておっちゃんがもってきた植木鋏をコンコンと叩いて噛み合わせを直しました。ほんの2分の仕事。

外へ出て葉っぱを切ってみたおっちゃん。

「バッチリ直った。いくら?」

「叩いただけやき今回はかまんよー。」の後、おっちゃんわざわざ車に戻ってリポビタンDを持ってきてプレゼントしてくれました。

常備しちゅうがや、リポD。

 

今日は23歳の若者がふらっとお店に入ってきました。バニーアイズのチームメイト。

試合では毎月会うけど、そんなにがっつり話したこともない23歳が来たので

「ん?どした?」って聞いたら

「ここでバイトさせてもらえん?」やって。

 

仕事を辞めることにしたので鍛冶屋でのバイトの打診でした。

「無理よー。」

そんなに簡単にバイト雇える仕事じゃないがよねぇ。

 

それからちょっと話をしました。

仕事について、腰掛けでバイトさせてくれって雇ってくれるようなとこなんてないこと、いい機会やき真剣に未来まで見据えて仕事のこと考えてみたら?みたいなこと。

何かヒントになったかなぁ。

 

しっかり向き合う仕事との出会い方ってどうしたらえいがやろうねぇ。

僕だって25歳までフラフラしよったし。そこにたまたま家業があったき今やりがいとか新しいやり方とかもっともらしいこと言いゆうがやけど。親父さんが鍛冶屋じゃなかったらどうなっちょったかなぁ。

 

今の脳味噌で今23歳やったら何か伝統工芸探すかなぁ。出来る限り設備を必要としないやつ。

新規開業とか独立を考えると鍛冶屋は工場から機械から初期投資がなかなか大変です。

けれど、伝統とか歴史を味方につけるのはだいぶ有利な気がします。

 

植木屋さんとかクリーニング屋さんとかポン菓子屋さんとか公務員とか電気工事士とかIT社長とか、やりがいとか使命感を持って働きゆう人がたくさん周りにはおって。

はさみ屋のように家業としてたまたまその仕事に出会った人もおるし、出会った仕事を続ける中で今の向き合い方に至ったやつもおるろうし。

マニュアルやハウツーなんてないもんね。

 

仕事を探す23歳のチームメイトには気の利いたことは何にも言えんかったけれど、仕事や会社や組織に対して愚痴らない大人になってほしいなぁ、と思いました。

そういう大人にたくさん出会えるといいよね。

 

「ま、もうちょっとしっかり考えてみいや。いつでも相談にのるき。」

 

でもなんで突然うちに来たがやろ。不思議。

 

 

 

 

 

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