鍛冶屋日記

月別: 2016年4月

日和りかける。危ない。

あるところからあるプロジェクトへの応募を打診されました。
モノづくりをする若い職人を応援支援するプロジェクト。
モノづくり・伝統工芸・職人みたいなキーワードで僕を見つけてくれたらしい。

「エントリーしませんか?」

すごいお話。
まだエントリーだけのお話やけど。

第一印象は
「すごくいいお話やけど、今は忙しいなぁ。ふるさと納税ともちょっと距離をとって足元固めんといかんと思いゆうし。やめちょこうかなぁ。5年前なら迷わずエントリーしたけど。今はなぁー。」

「もっとモヤモヤしゆう若いやつおるろうに。現状じゃいかんと思いつつ何したらいいかわからんみたいな若い職人に持って行っちゃったらもっといい物語が出来そうやのに。」

で、保留して一晩考える。

本当は保留して数時間でちょっとざわざわしてくる。
なんで見送ろうとしゆうがやろ。
今までいろんなこと頑張ってきた結果、あちこちで目立ってきた結果、僕のことを見つけてくれて声をかけてくれたがやのに。

今までのレース結果を見た上で「ダービーの出走権ありますけど出ませんか?」って言ってくれたのに「ちょっと疲労が」とか「こっちが楽に賞金稼げるし」みたいな理由で回避しよった。危ない。

本当に欲しいものはエキサイトする心臓やのに。手当たり次第ボタンがあれば連打しよったのに。疲れちゅうのか。老けたのか。本当に危なかった。

もっともっと前向いて走らんと。突っ走っていい。

だからエントリーします。

こうやったら鍛冶屋もここまで行けるって示さんとね。後の人のためにも。野茂さんみたいに。

それから「若手の職人」なんてカテゴリーで見てくれるのももうそんなに長くない。44歳です。

忙しいし、日々の仕事で毎日筋肉痛やけど、行けるとこまで行ってみます。
あ、選考に通った訳じゃないので何も変わらない日々になるかもしれんけど。

とりあえず、自分では道を塞がない。そこまで行ける道を教えてくれたのでそこまでは行ってみる。

乞うご期待。

桜花賞を外した翌日の今日。(あー、メジャーエンブレム…)
長男涼太くんの専門学校の入学式でした。
『高知理容美容専門学校』
美容師さんを目指してスタートです。

赤や青や緑や白の髪の子たちが60人。女子はメイクもばっちり。
「明日は個人名札のための写真撮りがあるので、髪のセットやメイクもばっちりして来てください。」って先生が注意事項としておっしゃる学校。どんどん新しい世界を見せてくれます。

入学式終わりで仕事場兼実家へ。
生まれて初めて買ったスーツのスポンサーになってくれたじーちゃんばーちゃんにご挨拶がてらスーツ姿を見せに行く。立派な赤い髪の孫に育ちました。

帰る前に記念撮影。
仕事着姿であることにちょっと抵抗を感じたじーちゃんでしたが写真に収まってくれました。

大丈夫です。
あなたのその真っ黒で火花が散って穴だらけの仕事着が孫の未来の一部を確実に作っております。
じーちゃんから孫に繋がるのは当たり前かもしれんけど、うちの場合はもっと直結。

鉄粉と油にまみれた仕事着。
炎にさらされ穴だらけの仕事着。
それが孫のかっこいいスーツに繋がっちゅうわけで。

そうなりたいよね。
本当に。

いい写真だ。

春が別れの季節であるということに久しぶりに気づかされた3月の終わりでした。人事異動め。感謝を伝えて楽しく送り出すしかなく。
飲んだ飲んだ。泣いた泣いた。吐いた吐いた。泣いて吐いて寝て起きたらもう新年度始まっちゅうし。窪内さんも遠くに行っちゃいましたよ、花村さん。ずっと一緒に真剣に遊べたらいいのにね。

5年。5年が長いのか短いのか。一年があっと言う間で「あ、朝倉会もう一年やってないやん。」なんて考えると5年もたぶんあっと言う間。

えーと、なぜ5年について考えたかというと5年前に宣言した目標の結果を検証しなくてはならない時が来ました。
2011年のたぶん3月20日に同級生2人の女子の前で発表した目標。その時は書いてないけどそれから後、この時にブログにも書いちゅうね。

「あと5年で高知で一番の刃物屋になる!」

ワンピース的な。
達成出来たなんて全然思ってません。
が、鍛冶屋として仕事として思う方向にはしっかり進めたと思ってます。
取引先の注文に左右されない売上。自分で値段を決められる状態。お客様と直接やり取り出来る態勢。
5年前に「この方向に進めば一番になれるろ」って思ってた道は間違ってなかったと思います。高知で一番にはなってなくてもしっかり結果も出て来たし、このまま進めばもっともっといい感じになる自信はある。
これからきっと大きな大きなピンチな出来事が起こることも簡単に想像がつくけれど、大丈夫。

5年前もこの5年間もこの訳のわからない自信でここまでたどり着けました。

一番をこじつけて考えるなら
・高知で一番小学校時代の同級生と遊びゆう鍛冶屋(25歳からほぼ毎月)
・高知で一番麻雀が好きな鍛冶屋(あー去年の11月からやれてない)
・高知で一番高校の同窓会の壇上でスピーチしゆう鍛冶屋(この一月に5回目達成)
・高知で一番イベントの実行委員長な鍛冶屋(これも3回くらいはやったね)

こうやって限定していけば一番なんて結構あって(調査した訳ではないので2番かも3番かもしれんし、もちろん鍛冶屋の枠を取っ払えばこんな人はいっぱいおるがやろうけど)、そんなせまい範囲の一番でもそれがいくつか積み重なればそれはそれでしっかりオンリーワンになっていくわけで。

そしてそのオンリーワンさが僕らの仕事には大事であって。オンリーワンだから知ってもらえる機会が増える。「鍛冶屋です。刃物作ってます。」を知ってもらうことが大事。印象付け。

単純に「鍛冶屋」より「麻雀が大好きな鍛冶屋」とか「仁淀川を活かして町を元気にする会議に出る鍛冶屋」とかの方が印象付くよね。
もちろん「いつも笑顔」とか「仕事が丁寧」とかも同じこと。

全部全部積み重ねて、自分自身をブランディング。
好きなことやっていろんな場所で楽しんでそうなっていけば最高やと思います。
そうして来たし。

さぁ、5年後どうなっちゅうがやろ。
明るい方が未来です。絶対に。

「見よってください。」

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