鍛冶屋日記

年: 2015年

凜くん、中学卒業。
そして高校合格。

高知商業の社会マネジメント科で世界や地域のためになる人材に育成してもらえるらしい。楽しみ。

そんな受験や卒業や合格発表を見守りながら仕事しつつ先週は確定申告。
昨年までは両親に任せていたので初めて自分でやってみる。新しく手に入れた会計ソフトを駆使するつもりでしたがこれは早々にあきらめる。使いこなせず。
それでも商工会さんや国税庁や親父さんの助言を受けながらなんとか終了。
出来るもんやね。来年からは大丈夫な感じ。
あ、やることがまた増えた。

それでもいろいろ一区切りついてホッとひと息。
ちょっとヌケガラな状態です。

時間に余裕が出来た訳ではないけれどこのひと息つく隙に少しずついろいろ整理していきたいと思えるとこまで来ました。
年度終わるまでもう少し。

来週日曜日は母校へお掃除に。

「忘れてないよ」
ってことだけで良いと思ってたけれど、それしか出来んと思っていたのだけれど

「忘れてませんからね」
って伝えようとすることも大事なのかも、なんてことを思い始めました。

春です。

年度末の大変さ、初めて実感してます。

「世の中に寝るほど楽はなかりけり、知らんあほうが起きてはたらく」
名言や。

2月が28日しかないことに気づいてあわてる。
今週末はイベント出店で金曜までしか仕事出来ないことに気付いてあわてる。

そして凜くんの高校受験まであと1週間。
残業したい気持ちを抑えて残業しなければならない状況に目をつぶり、毎晩毎晩一緒に勉強してます。今さら焦る家庭教師と受験生。受験生はあんまりあわててないかも。

鉈の研ぎ直しを持って来てくれたお客さん。
「うちの女房がおまんのことをうんと気に入っちょらぁよ。」

ん?何した?俺。

「伊野商業で講義したことがあったろ?あの時刃物のこといろいろ教えてもろうたって。」

あ!サマーセミナー!

伊野商業さんが企画するセミナー形式の学びのイベントに職人仲間と参加しました。
植木屋さんとクリーニング屋さんと一緒に職人として仕事に関するお話をしました。3人で一コマの講座を担当。

あの時奥さまが聞きに来てくれてたんですね。
もう1年半も前のこと。

「それにこの前、伊野駅前で売りよったろ?」

はい、いのえきマルシェ。
この前の日曜日でした。

「そこで見かけてなんか買おうかと思ったけど買えんかったき、今日初めて来てみたがよ。」

ありがとうございます。

・奥さまがサマーセミナーで鍛冶屋の話を聞く
・家に帰って旦那さんに話す
・旦那さんの頭に残る

そこから1年半

・偶然伊野駅で奥さまから話を聞いた鍛冶屋を見かける
・3日後、欠けた鉈を持ってご来店

ながーい熟成時間をかけてお客様になってもらえる。
自分で作って自分で動いて自分で売ってる醍醐味です。あちこちに出かける意味。

動くこと全てに意味がある、ってまた思わせてもらえました。
サマーセミナーなんてそんな効果考えてないもんね。お世話になってる伊野商業さんが声かけてくれた、じゃあ何かやってみようか、って感じやったなぁ。

そしていのえきマルシェが最後の一押しに。
なんとなく頭にあった鍛冶屋を見かけたことで「行ってみよう」になってくれた。

また繋がりました。

これでしっかり研ぎ直して納得してもらえたら、もうこのお客さんは次刃物が必要になったらはさみ屋が頭に浮かぶはず。大丈夫。

本当にきちんとうまく繋がってくれる仕事です。
1,000円の研ぎの仕事ですけど、これが一番大事です。

なんとかお店まで来てもらうこと。そのためにまず知ってもらうこと。何度も何度も見てもらって認識してもらう場面を作ること。こう思ってイベント出店を繰り返す。売りに行くより知ってもらうために行く。
そして、今、テレビや新聞やタウン誌に載っけてもらって認知してもらう場面が飛躍的に増えました。そうやって覚えてもらう。
「あそこに鍛冶屋がある。研ぎ直しもやってくれる。」
次必要になった時に思い出してもらう。
そうしてやっとお客様になってもらえる。
もらえない場合もあるでしょう。

でも、それを続けることがやっぱり大事だなぁって実感させてくれるエピソード。無駄なことなんてない。だからどこでも出て行ける。

そんなきっかけの場所に、知ってもらう最初の出会いの場になってくれたらなぁ、ってところが『職人ストリート』。

若い職人さん達にそういう意識で出てきてもらえたらいいなぁ、と思います。

今週土日、いの町商店街にて『かみのひな祭り』の一画で『職人ストリート』開催します!

いろんな職人さんに、心意気に出会いに来てもらえたらうれしいです。

よろしくお願いします!

同級生の友達が転職します。
転職というよりステップアップ。
職種は同じでより大きな仕事の出来る大きな会社へ。

43歳で高知を抜け出し東京へ勝負しに行く。
かっこいいにゃあ。

今の会社(高知ではなかなかの大きな会社)の待遇とか仕事の内容に愚痴ってるのを聞くたびに
「やりたいようにやったらいいやん。出来んなら言うな。高い給料もらいゆうがやき。やってから言え。」みたいな対応して来たけれど。

やるとは思ってなかったなぁ。
本当に動くとは全然思ってなかった。

この歳になって同級生から
「東京で面接受けて来た。」
「内定もらった。」
「もう一つ結果待ち。」
みたいなセリフを聞くとは思いませんでした。

頑張って来たらいい。

仲良し同級生でしっかり送別会しました。

「ありがとう!でもこれから行く会社が高知で現場取ったらしいき最初は高知に配属されるかも…。こんなに見送られてえいがやろうか…。」

かまん、かまん。
また来月も一緒に飲めばいい。

勝負した姿を見せつけられて今思うこと。

「しんどかったら帰って来なさい。」

大きな舞台で成功するより、大きな舞台に上がる決意をしたことが大きいがやき、と僕は思います。
舞台は小さくても今までの時間を使っていっぱい積み上げて舞台の真ん中に立てるとこまで来ちょったのを捨てて一歩踏み出す。すごいこと。

「あの時告白しちょったら良かったなぁ。」ってセリフは言わなくて済むもんね。

楽しくなければ帰って来ればいい。
そしたらまた麻雀できるし。

どんなになってもおまえはおまえ。
俺らの中では変わりません。

大丈夫。
やりたいようにやったらいい。
赤五筒(うーぴん)通さんと上がれん時に勝負しただけ。
それで振り込んだらもう半荘やればいい。
いつまでも付き合います。
もちろん赤ウー通して国士上がればかっこいいけどね。

頑張って来い。

まぁ次から次へと書くことが。

先々週くらいに四国経済産業局さんからお電話が。
四国デザインサミット in 愛媛』へのご招待。

「この場でご自身のデザインとモノづくりに関してのご経験をお話しいただけませんか?」

前に出て話せと。
ずいぶんな大役。でもおもしろそう。キライじゃないです。

ただ、残念ながら日程が合わず。
2月28日は『いの町かみのひなまつり
に出店です。

なかなか経験出来そうにない場所。行ってみたかったです。いろんなお話も聞けたろうしね。
『職人ストリート』じゃなければ出店キャンセルして行ってたのになぁ。

数日後、また四国経済産業局さんからお電話。
今度はこちらへのご招待。
インターナショナルギフトショー

「こちらに四国経済産業局のブースを出すのですが、そこに笹岡さんのドットとストライプの包丁を展示させていただけませんか?」

もちろんOK。
って言うか是非お願いします。

「展示するメリットとしてはご来場の皆様からアンケートで商品へのご感想などを聞くことが出来ます。そして、ご来場のデパートなどのバイヤーさんでご興味を持っていただけた方とのお取り次ぎはさせていただきます。」

後半にちょっと不安があったので質問しました。
「もし万が一、気に入っていただけても生産能力の問題で、お取引にはならないかも、って言うかたぶんデパートとかとお取引するのは無理なんですけど、それでも出品してもいいですか?」

つまり、初めからあんまり売る気ないのに出していいものか。間違いなく作れんもん。

「あ、それは大丈夫です。」

という訳でデザイン包丁4種類と取り上げてもらった雑誌と新聞のコピーとデザイナーさんが作ってくれたPOPを東京へ旅立たせました。

水・木・金とギフトショーでお披露目です。楽しみ。

もう一つこんなエピソード。
しょうがの女神・森島さんのブログに再びドットとストライプが登場。

「今度マツコデラックスさんにお会い出来るかもしれないので、もしお会い出来たらプレゼントしたいんです。」ってストライプをご注文いただいてお送りしたのが昨年末。
結果はこちら→森島さんのブログで。

残念ながら届かず…。惜しい。

けど、デザインがどんどん見たことない場所に経験したことない大きな世界に連れてってくれます。
自分は何にも営業してないのに。

すごいなぁ。

置いて行かれませんように…。
てか、引き留めゆうなぁ。
自分の生産能力が。

まぁ仕方ない。働きます!

今年はまだ指切ってません。血ぃ流してない。カットバン使ってない。1ヶ月。素晴らしい。

はさみ屋、高知のタウン誌に載っけてもらいました。
東京から帰ったら発売中でした。

『ほっとこうち・2月号』

「おらが町のスター」のコーナー。
158ページです。
いの町代表。

「ほっとこうちさんからいの町特集のお話をいただいてるんですけど紹介していいですか?」by観光協会

「いいよー。」

こんな軽い感じで取材が決まったのだけれど、出来上がりを見るとなんだか感慨深くてうれしいです。

「おらが町のスター」
・mow candle
・畑山ガーデン
・浜田兄弟和紙製作所
・刈谷農園


そこにはさみ屋。
このメンバーに紛れ込めたことがうれしい。

畑山ガーデンさんはまだお話したことがないのだけれど、まっちゃんやmowちゃんや浜田くんと話したりそれぞれの動きっぷりを見てきて

すごいなー
やりゆうなー
先行きゆうなー
かっこいいなー
こうならんとなー

ってずっと思ってきたので。

周りから話を聞いたり実際会って話をしたり、見習って刺激をもらって自分の仕事に置き換えて考えてお手本にしてきた対象の人たち。
そこの列に並べてもらえた感。

うれしい。
そんなことを一人感じてます。

mowちゃん、5年半前にお店を訪ねて初めて会って話したキャンドル職人。
それからしばらくしてから、吾北で作られたキャンドルがデパートで売られててびっくりしてたら神戸に支店出しちゅうし。
「この仁淀川が流れる吾北で作ったキャンドルを都会の人に届けたかったんですよー。」って。
自分で仕事を作り出してそこから販路を作ってイベント作って。本当にすごいと思います。
最近会う機会が増えて会うたびに熱い話を聞かせてくれます。

浜田くん兄弟、和紙職人。
いろんなとこから話を聞けば聞くほど土佐刃物業界と同じで、様々な問題を抱えながらそこに手を打つこともないまま衰退しつつある土佐和紙業界。伝統工芸はどこもそんな感じながやろうねぇ。そこでしっかり自分の色を出して自分の道を進んでる感じ。
昨年ようやく会うことが出来て話をすることが出来ました。やっぱり先行きゆう。

まっちゃん(刈谷農園)は一番身近に存在する農家さん。
農業はお手本です。僕はそこに学ぶべきこといっぱいあると思ってます。言い過ぎかもしれんけどおそらく最も衰退していて後継が作れなくて困ってる業界。そこで「作り手の顔を出して売る」とか「品質にこだわって作る」とか「作って加工して売るところまでまでやる6次産業化」とか。見習うべきとこいっぱいの業界。
自分のやりたいことを親父さんに説明する時によく例えに出したなぁ。
「農家さんだってJAさんに卸すだけじゃ先が見えんなりゆうやんか。自分の顔出して売るとか自分で販路開拓するとか、大事やろ。」
「農家さんだって品質にこだわったとこだけしか生き残れんと思わん?」
そんな新しい農業の先頭を走ってる感満載のまっちゃん。
いつもいろんな場面で一緒に楽しんでます。

本当いの町を代表する熱い職人な方々です。
そしてみんな年下。
年下やのにお手本。
さらにみんな自分の町が好き。
話してみたらわかるけど、これはもうびっくりするくらい好き。

『ほっとこうち・2月号』いの町特集、是非ご覧ください。
そしてmowcandleとか浜田和紙とか刈谷農園とかを覚えちょってください。
この先きっとどこかでまた出会えます。
出会ったらきっと得をします。

「あれ?はさみ屋は?こんなもん?」
って言われんように頑張ります。

東京2日目の夜。

昨日書いた都会見学のあと、少し郊外の国立駅へ。
東京駅から中央線に乗る。THE BOOMの『中央線』が頭の中で流れます。これが走り出せ中央線か。

目的地はここ『つくし文具店

つくし文具店の萩原さんと初めてお会いしたのは1年前。
いの町の紙を使った町おこしのお勉強の中で「つくし文具店」や「かみの工作所」についていの町までお話しに来てくれました。

その時以来。
今回東京に行く前にある人に相談。

「何の予定もなく東京に行くことになったんですけど、見てきたら良いとこどこかありますかー?」
「つくし文具店の萩原さんにお会いして来たらどうでしょう。」
ってことで連絡とってもらったら

「土曜日午後5時から小さなデザイン教室があります。参加しませんか?」
「参加します!」

示された道はとりあえず歩いてみる主義です。
そんな感じで何もわからないまま行って来ました。

『小さなデザイン教室』

参加してみてわかる範囲で説明すると
・入学から卒業まで1年間(1月スタート)
・平日クラスが2つと土日クラスがあってクラス単位の活動
・教室は月一回
・みんなでデザインを学ぶ
・今年は4期生

きちんとした説明はこちら→『小さなデザイン教室
僕が参加したのは土日クラス。
学生さんも働いてる方もいろんな人たちがいました。やっぱり若い人が多いのだけれど過去の卒業生にはリタイア後参加みたいな人もいたりで年代は様々みたい。

1月スタートの最初の教室らしく、参加した授業の内容は、自己紹介・係決め・クラスの名前決め・班分け・日直の予定決め。

僕も流れの中で自己紹介。
漢字一文字と決められたクラスの名前は「未組(みぐみ)」未来の「み」。
この決定までの意見出しや多数決にも参加。

組長や広報係や給食係や行事係などが決まり、その後も一通り決めるべきことが決まり、その日決まった給食係が予約してくれた居酒屋さんへみんなで飲みに行きました。

行事係の女の子に
「夏の遠足は是非高知へいの町へ来てください。」
って提案して来ました。

参加して思ったこと。
楽しい。素敵な場所が出来上がってます。
これに倣って何か出来んかなぁ。

『小さな職人教室』

ずいぶん男くさくなるね。

1年間少人数で何かについて学ぶ。そんなに堅苦しくなくて何かについて話したりやってみたりやめてみたり。
立場も年齢も様々ないろんな人が同じ時間に同じ場所に集まってデザインや花見や遠足について話す。
毎月毎月1年間。

そんな楽しい1年を過ごして卒業する。
そしてまた新入生が入って来る。

そりゃ仲良くなるし、その場所をその町を好きになる。
そんなにたくさんじゃないかもしれんけど強い強いファンが出来る。仲間が出来る。
素敵な取り組みです。

何か出来んかなぁ。
日直やりたいなぁ。
「にっちょく」って言葉を発することがないもんねぇ。

修さん、未組のみなさん、お世話になりました。仲間に入れてくれてありがとうございました。ワクワクしました。また会いましょう。

3回にわたってお送りしてきましたが、以上が神様がくれた奇跡の3連休の物語です。
(日曜日は起きて電車に乗ってお土産買って飛行機に乗って帰って来ました。)

いろんなことをインプットして来たのでそれら全てを、取り出すべき時に取り出せるように、日々仕事や仕事じゃないこと、また頑張っていきたいと思います。

時々は外に出る機会を作らんといかんね。
見たことないものを見る機会、行ったことない場所に行く機会、意識して作っていこうと思いました。

それからあらためて、自分の町があるありがたさを実感です。
東京に行くチャンスをくれたのも、東京で会うべき人を教えてくれたのも、いろいろ全部町のおかげ。自分の町で働いて自分の町で動いてるから。本当に感謝です。

奇跡の3連休ありがとうございました。

前日の体調不良で早めに眠ってすっきり目覚めた土曜日。東京まで行って10時間近く睡眠をとりました。

本来なら午後から国立劇場の日。
ペーパーラボさんは売りに行くのでこの日は完全単独行動。
まずは大阪にいる妹から「東京行くなら見て来たら?テレビに出ちょったよ。」って教えてもらった日本橋の刃物屋さん。


メーカー兼小売なのでちょっと業態は近いかな、と思ったけどお店はお店、工場はどこか別のとこみたい。小さなお店に入ると上品なおかみさんが接客してました。
ブザー押すと汚れたジーパンの職人が出てくるどこかの刃物屋さんとは違います。さすが日本橋。このお店の佇まいにはかないません。さすが老舗。

この引き戸、いいなぁ。かっこいい。
こういう雰囲気にしたいけど、やろうと思って出来るもんじゃないがやろうねぇ。これを醸し出すには年月と歴史と努力が必要や。

それから歩いて『COREDO室町』へ。
大きな大きなショッピングモール。この中におそらく日本で一番有名な刃物専門店である木屋さんがありました。
『日本橋 木屋 本店』
飾り方見せ方は新しい。さすがにおしゃれ。


こんなのはさみ屋が実行したら埃がたまって大変です。鉄粉が降り積もる。でもこのイメージは何かに活かしたいなぁ。

そのあと別棟の(COREDO室町1.2.3って3棟もある!)ショッピングモールを回ると入口近くのすごく目立つ場所に『芋屋金次郎』さんがおりました。

旅先でふるさとの友達に再会した気分。うれしくなります。
都会の厳しい環境で頑張ってる友達。頑張れって言いたくなります。

でも「日本橋限定」とかって都会にかぶれてちょっと変わってしまったさびしさも。

お向かいの『日本橋 三越 本店』をちょっとだけのぞいてから、東京駅の『KITTE』へ。

これ全部お店。規模がすごい。
このたくさんのお店の中から、大事なお目当の一つ『中川政七商店』へ。
伝統工芸を元気に!をコンセプトに展開されてるセレクトショップです。包丁もありました。新潟の包丁屋さんの。

うんうん。ここに並んでも大丈夫っぽい。

『TOSA no DAICHI 』と『SANUKI no MEGUMI』

あとはこういうお店に並んでも大丈夫なはさみを作りたいです。

このあとはこの旅唯一、お会いするお約束をした方に会いに。これはまた次に書きます。

巨大なショッピングモールを見て回ったこの日の感想。
これだけいい感じのお店がたくさんあったらそりゃ人は来る。んで、モノも売れる。モノが売れたらまたお店も入る。また人が来る。売れる。増える。圧倒的。

ゆっくり時間作って買い物に行きたいと思うもんね。お客さんとして。
見て回るだけでも楽しいし、全然時間足りんかったし。

人が来ないからお店がないのか、お店が開いてないから人が来ないのか、ってぐるぐる悩んでる商店街を何とかしようぜ、なんてちょこちょこ動いてる一職人の感想です。

さすがやね、東京。

あと都会の刃物屋さんを見て回った感想。
イケる気がします。
本当に競争の激しい都会で生き残って来たそれぞれの刃物屋さんです。それぞれ力があってそれぞれの魅力があってそれぞれにお客さんがおる。

でも、「僕が作ってます!」ってとこはない。
これ、うちの強み。
作り手が売る。
作り手が研ぎ直しもする。
作り手がイベントに出てPRする。
作り手がお問い合わせのお返事メールを書く。

こんなとこない。
きっとどこか探せばあるがやろうけど、見えるとこにはない。
全部に見える必要はなくて「僕が作ってます!」を求めてくれる方々にどう発信するか、これだけ。都会へ全国へ向けて発信する手段もある時代やし。「僕が作ってます!」を求めるお客さんが増えゆう実感もある。

だから、これでいいと思いました。
これを続けられるシステムをきちんと確立するのが今の目標です。

こんな風に自信を深めた東京視察になりました。まぁ基本楽観的ですから。このまま続けます。

あ、この日の夜、1人国立劇場へ和紙を売りに行ってたペーパーラボさんにメールしました。

「売れました?」
「バカ売れ!」
「まじっすか?」
「マジです。凄かった!」
「よかったっすねー。」
「お客さんの層も良かったし本当にものすごい忙しかったき、笹岡くん来ちょったら刃物は単価も高いし10万くらい売れちょったがやないろうか。」

んー、残念。

行って来ました。

金曜日のお昼に羽田到着。

高知のアンテナショップ「まるごと高知」を一回り。

一応土佐刃物の展示はされてたけれど(販売はしてません・このご時世)、鳴子やらなんやらでほとんど見えない状態。出さん方がえいがやないろうか。
そのまま、まるごと高知でお昼ごはん。

それから、すぐ側のプランタンでモンブランを食べる。女性ばかりの銀座のお店でペーパーラボさんと2人でモンブランを食べる図。なかなかのもんでした。

それからペーパーラボさんと別れて単独行動。合羽橋へ。
事前に情報もらってたお目当の刃物屋さんを中心に道具街を見て回る。すごいお店の数。刃物屋さんも何件もある。
それでも、そんなに斬新なこともなく昔ながらの刃物屋さん群。それで成り立ってるのがすごい。

行く先々でお客さんを装って「研ぎ直ししてもらえますか?」って質問してみる。

ほとんど研ぎもしてるけれど、自店販売のもの以外お断りとか他社製品は割高とかのお返事ばかり。
つまり研ぎ直しはお仕事じゃないんだなぁ。
あくまでサービス。アフターサービス。
お返事の仕方に「よそで買ったのは持って来られても困ります。」って雰囲気がありありと。
やっぱりそんな感じか。

日も暮れて来たので帰路に。
歩いてると気持ち悪くなる。
さっきのモンブランが上へ上へと上がって来る。
ペーパーラボさんとの待ち合わせがあったので、ふらふらながら電車に乗るも途中下車してまた駅のトイレに駆け込む。
なんとか待ち合わせ場所、渋谷のヒカリエへ。ここ見に。

なんとか見て回ったけどそこでもう一回気分悪くなってトイレへ。ここで見たのはあんまり覚えてないや。

パスタとモンブランを同時にお腹に入れたらいかんがや。

ただ、ホテルに帰りたい。

帰り道のうどん屋さんへペーパーラボさんを残して1人ホテルへ。

東京に来たのに晩ご飯も食べることが出来ずにホテルにビールを買って帰ることも出来ず、コンビニで買って帰ったのはカップのお味噌汁と胃薬でした。

歩いて歩いて気持ち悪くなってなかなかつらい1日目。
でもまぁ、合羽橋には負けない気がしました。

大事件。
国立劇場行けなくなりました。

昨日のこと。
「国立劇場から刃物の販売はダメ、って連絡が…。もう本当に今更ですけど、写真撮ってカタログ販売的に出来ませんか?」

危険を心配する気持ちはわかるけど、これは出発前々日。
飛行機もホテルもずっと前から予約済み。

「写真だけじゃ売れんでー。」

お客様にはその場で渡さず後日高知に戻ってから個別に発送する(劇場内に刃物が入り込まないようにする)形でもいいので実物は持って行きたい、見てもらって持ってもらわんと売れるもんじゃない、って伝えました。

それでも答えはノー。
飛行機代宿泊代のキャンセル料払うので刃物は持って来てはなりません、ってお返事。
出発は2日後。

間に入ってくれてるこちらの窓口も国立劇場の担当さんも頑張ってくれたのは感じました。
現場はOKやけど上の上の方の偉い人から「何かあったら大変だ」って横槍が入った模様。このご時世ですからね。ご時世久しぶり。

国立劇場に高知の山の神楽を観に来るお客様がそこで売ってる高知の伝統工芸品である刃物買って何が起こる?って思うけど。

最初にお話もらった時、一緒に行く予定のペーパーラボさんに「そんな場所で売れるチャンスなんてもう無いき一緒に行きましょうよー!」って強く誘ったのは俺やのに。和紙と刃物の伝統工芸品コンビ解消。

ブログでも自慢気に発表したのに。

飛行機で読むための本も2冊買ったのに。

ある会のメーリングリストに「その日は国立劇場へ売りに行くので日程ずらしてください。はさみ屋、東京デビューして来ます。」って偉そうに発表したのに。

何より凜くんに
「国立劇場へ売りに行ってくるきよ!」
「国立劇場?」
「うん。まぁ国立競技場でサッカーしてくるみたいなもんやね。」
「すげぇ。」
ってカッコつけたのに。

ダメながや。
いろんな人が頑張ってくれたけど結果は変わらないので引き下がります。

そして心を切り替える。
研修旅行に切り替える。

国立劇場への売り出し遠征はキャンセルしてあらためて東京への視察研修旅行を企てました。

「東京へ行くチャンスがあるがやけどココ見て来た方がいいよってとこある?」っていろんな人に聞いてました。

いくつかピックアップされてます。

伝統工芸を時代に合わせてモダンに売ってるデパートやお店。もちろん有名刃物屋さんも。

「神様がくれた休日ですよ。きっと。」って言ってもらえました。
2ヶ月間休みなしの予定やったきねぇ。

それから、売りに行く場所がなくなったのに東京まで行くことを許してくれた親父さん。デカいなぁ。

売りに行く以上にいろんなことを学んで吸収して来んとね。

しっかりいろいろ見て来ます。

けどやっぱり、国立劇場に神楽を観に来るようなお客さんがうちの品にどんな反応してくれるか、感じてみたかったなー。

明日から神様がくれた奇跡の3連休です。
おみやげ買って来ます。

東京デビューもいつか来る。きっと。

心意気ってなんやろう。

昨日も書きましたが、3月の『ひな祭り』イベントで『職人ストリート』やります。

それに関して数日前にある方から
「◯◯さんが△△で展示会した品が余っちゅうき『職人ストリート』で売りたいって言いゆうけど。どう?」

って打診されました。
何やらモノづくりをされてる方らしい。
一瞬ぐるぐる悩む。モヤモヤ。

「余っちゅうき」「売りたい」
違和感違和感。

ご紹介してくれた人は純粋に「職人ストリートの層が厚くなるし新しい職種の人も増えたらいいよね。」って気持ちです。たぶん。これはありがたいこと。

「その人に心意気はありますか?」
「んー。」
「職人ミーティングには出てくれそうですか?」
「たぶん無理。」

ひな祭りに出店する別の方法を伝えて職人ストリートを守る。
帰ってからも少しモヤモヤは残りました。
そんなに意地にならんでもいいのかも。
出店するメンバーが増えたらそれだけ職人ストリートも充実するし。出店だけに参加してくれるメンバーも何人もおる訳やし。

その翌日、モヤモヤが晴れる出来事がありました。
ある女性がはさみ屋にご来店。

「なないろの森下さんに聞いたんですけど、職人さん達の仲間に入れてもらえませんか?」
「なないろ」ってのはいの町商工会の出先機関です。森下さんはそこの職員さん。いつも職人チームと一緒に汗をかいてくれている人。そこからのご紹介。

その女性はいの町在住の漫画家兼デザイナーさんでした。

職人ストリートの内容と目的と職人イドバタミーティングの話をしたら

「是非参加したいです!楽しそう!」
「漫画ってこうやって作るんよ。漫画ってこんなに楽しいがで!っていろんな人に伝えて行きたいんです。」

ミーティングも参加してくれるって。
うれしいなぁ。
大歓迎でございます。

こういう人が現れてくれて「やっぱり間違ってなかったなぁ」って確認出来ました。

間口を狭めてる訳ではありません。
参加資格は「心意気」だけです。

心意気が何なのか、説明出来んし全然わからんけど、「心意気あります!」って自分で宣言するのって結構難しいのかもしれません。このハードルはなかなか素敵な判断基準だと思います。
今回は宣言してもらった訳ではないけれど、なんとなく感じました。

「この人は大丈夫。」

最初の方も、「心意気ありますか?」って質問に紹介してくれた人が「あるよ!」って言える方だったら一緒に並んでお店出せちょったがやろうねぇ。

これからもこの感覚に頼ってやっていきたいと思います。

仲間増えるのはうれしいです。
心意気お待ちしております。

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