鍛冶屋日記

年: 2015年

仕事頑張ってます。全然進まんけど。

この度、鍛冶屋志望の若者を研修生として受け入れました。前にちょこっとだけ書いたけどこの時東京からやって来た22歳。

うちに面接に来た時の写真です。

それから伝統工芸の後継者育成の補助金を申請したり土佐刃物の組合の理事会に計られたり役場の面接を通過したりして、無事10月から働いてもらってます。

2ヶ月と少し、真面目にやってくれてます。

「どう?あの子は鍛冶屋に向いちゅう?」っていろんな人に聞かれるけれど、適正なんてわかりません。

自分だってものづくりに興味があった訳じゃなし、自分を器用だと思ったこともない。それでも自分なりの方法で18年やって来ました。

どんな仕事でも大事なのは「やめない」じゃないかなぁ。
「続けること」「毎日工場に出てくること」
それが出来たら鍛冶屋にはなれる。
プロ野球選手じゃないがやき。センスや適正の必要な仕事じゃない。

その先、もっと良いものを作るためには、もっと効率良くスピードを上げるにはとか、もっと売れるようにするには、とかは考えるべきやしある程度センスも必要かもしれんけど。

まぁ、一人前になるかどうかは本人次第なのでどうにも出来ない。
その点、東京から何のつてもない友達の1人もいないいの町へ移住して1人でアパート暮らししてまで鍛冶屋になろうと飛び込んで来たのだからやる気はある。

受け入れるこちらとしてはそのやる気をしぼませないような努力や心配りをせんとね。こっちも2年間の研修期間の先は戦力として考えちゅうがやき。雇用を生もうと思って受け入れてます。

どっかで見たけれど
「あんなに熱意を持って◯◯やりたい!って来たのに辞める時はあっさりしたもんやった。最近の若者は…。」なんてつぶやきはしたくない。これ完全に受け入れる側の問題やと思ってしまいました。

そこまで熱い気持ちと夢を持って飛び込んで来た若者の気持ちを冷めさせたのは親方やったりその会社やったり業界やったりの責任が大きいはず。

もちろん下積みみたいな時間はあって思い描いたのと違うところもいっぱいあると思うけど。
未来への希望を消し去ってしまうのはきっと仕事そのものではなくて、受け入れる側の体質とか環境の整え方とか仕事のさせ方責任の与え方みたいなとこが大きいんじゃないかなぁ。
そこの資質を問われる。すごく感じます。

なんて、人を使ったことのない43歳がえらそうに言いました。

遠い昔、僕も言われた。
「向いてないと思ったらすぐ辞めろよ。」.
向き不向きを心配した親戚からの言葉やったがやけど、25歳まで自由に好き勝手生きてきてその挙句に親父の仕事に入るのに辞める訳ないじゃんか!って思いました。それだけのことで今に至る。

その中で自分なりのおもしろさを見つければいい。

数ヶ月後に「辞めて帰ってしまいました。」って書くかもしれませんが、その時は「今時の…」なんて言わずにしっかり自分を反省したいと思ってます。
そういう覚悟で受け入れてます。

東京から移住してきた鍛冶屋志望の22歳とそれを受け入れて一緒に働くことに決めたはさみ屋。

乞うご期待!です。

いの町の商業振興会というところに所属してます。
もともとは商店街の諸先輩方が商売の振興について考えて行動してきた会。ご多分に漏れずいの町の商店街も廃業や高齢化で会員さんの減少も免れず、もっと範囲を広げてはさみ屋にも声がかかり入会したのが2年前。1年経ったら理事になってました。

その理事会での議題。
「商店街の街灯が設置されて10年。全く掃除もしてなくて汚れてきてます。掃除してきれいにしてはどうかと。業者に頼めばお金がかかる。かといって自分達でやろうにも若い人も限られていて実際に動ける人は少ない。そこで商工会の青年部にお願いしてやってもらいたいなと。高所作業車を借りるとかの実費は商業振興会が負担して、実働は青年部にお願いしようという案です。どうでしょう?」

賛成しました。大賛成。
地元の商店街の街灯を商工会の青年部がきれいにする。とてもいい物語。
しかも11月23日の祝日は大国様の秋の大祭。それに合わせて大国様~商店街~紙の博物館までを使ってイベントを開催します。
『Kami祭』

はさみ屋は実行委員長やってます。

大国様の秋の大祭に備えて青年部が街灯の清掃。
もしかしたら新聞とか取材してくれて青年部の社会貢献活動がイベントの宣伝にも繋がるかも!
実行委員長の計算。是非23日までにやってほしい。

「出来れば実費だけでなく青年部の活動資金の足しになるくらいのものも出してほしい。完全ボランティアでは青年部もしんどいです。」

若いってだけでいいように使われるのはごめんですって場面はしっかり経験してきた青年部出身者としての意見も付け足して賛成しました。

無事可決。
青年部の方も受けてくれたようで良かった良かった。

と思ってたら青年部担当の商工会職員さんから電話がかかって
「商店街の街灯の清掃をするんですけど…」

うん、知っちゅうよ。

「なかなか人数集まらなくて、笹岡さんも出て来てくれませんか?」

あ、そういうことね。
うん、みんな忙しいもんね。
行かん訳にはいかんよね。

「はい。行くようにします。」

なかなか会議室で話だけしてふんぞりかえって
「金は出すき若いもんにやらしちょけ。」って立場にはなれんもんやね。そこに行けた気がしちょったのになぁ。惜しい。

11月23日(月・祝)
Kami祭
職人ストリートも開催します。

是非遊びに来てください。

「これ剃ったら涼太が負けるかも」って思って剃らずに伸ばし続けたヒゲを剃りました。もう一週間前かー。

11月3日(火)
ヒゲだけじゃなく、担げるもんは担いぢょこうと準々決勝の時と同じ服・同じBGMで会場の春野球技場へ。
会場では準決勝のもう1試合、「明徳vs.中央」が始まるところ。最初は観戦してたけれど「涼太に会わなくちゃ」と思ってアップする丸の内イレブンを探す。見つける。見つけたけれどフェンスの向こう。眺める。涼太のアップを見るのも最後かも、って思いながら眺める。

そのままベンチ裏で準備する涼太をスタンドから眺める。第一試合が終わって敗れた中央高校の健太(鴨田FCのチームメイト・つまり幼なじみ)がスパイクの紐を結ぶ涼太に声をかけてくれるのを見つける。素敵な光景。

その後スタンドから涼太を呼ぶ。裏へ呼び出して話す。
「ポジションは?」
「今日はボランチ。8人でしっかり守って前の2人でカウンター狙い。」
相手は強い。間違いない作戦。
「じゃあ、おまえから前線へのパスが大事な訳やね。」
「うん。」
「頑張れ!とにかくシュートのイメージ。ゴールのイメージ。勝つイメージ。これだけや。」
「OK。」

緊張感バリバリの雰囲気。でも涼太はそうでもない。リラックスムード。

試合開始。
ほんの15分、あっさり高い個人技でズドンと先制される。全然崩されてないのに1点取られる。
正直この時点では「何点やられるがやろ」って感じ。さすがに強い高知商業。

苦戦しながらも踏ん張る丸の内。
「0-1」で前半終了。
1点リードされてる分、前の試合ほど応援してて苦しくない。試合会場外に出てタバコを1本。
今まで小学校一年生から涼太だけを見てきた親としての前半の涼太の動き。
「いつもよりいい。動けゆう。キレキレや!」
前の試合準々決勝よりも格段に動きがいい。充分やれてます。本当にそう見えました。
スタンド下のトイレが競技場のベンチのすぐ裏であることに気づいてたのでトイレの窓から声をかけに行く。
「涼太!」
こっちを向いた涼太に
「いいぞ!続けろ!」
笑顔が返ってくる。

再びスタンドに上がって応援。

後半、高知商業選手交代。
エース・たくみ登場。
数分後、切り札・堀見も投入される。
2人とも 中学時代のFCコラソンのチームメイトです。同じチームだったけれど2人はトップチームで大活躍。涼太は卒団までBチーム。差がありました。こっちからしたら大きな大きな差がありました。
でも、今、同じ舞台に立ってます。涼太の運。涼太のセンス。それからもちろん涼太の努力。そんなの全部を活かし切って同じ舞台に立ちました。そりゃ感慨深いです。彼らの実力は恐いけど、2人が出てきてくれて相手にとって不足なし。

試合に戻ります。
じりじり続く「0-1」の時間。
「やっぱ強いなぁ、商業。」
って思いながらもなんか希望はチラつく試合展開。まだ何かあるって思わせてくれる丸の内の戦いぶり。そして残り10分をきった時に相手陣内で得たフリーキックの場面。

涼太がボールをセットに向かいます。動画を撮るべくiPhoneを構える親父。
手を上げて合図するキッカー。絶妙の弧を描くボール。
「よし!」
キャプテンの足にドンピシャ!ゴール!同点!叫びました。4回叫びました。

俊輔に魅せられ、ヤットさんに憧れたサッカー少年がフリーキックを蹴りたいと思うのは当然です。そこに憧れ続けたやつがプレースキッカーというその役割をチームの中でしっかり勝ち取って、この大舞台で強い強い相手に1点ビハインドの場面でフリーキックで同点を作り出す!
ドラマです。少なくとも見続けて来た親にとってはものすごいドラマです。

2015年11月3日14時26分
涼太がヤットさんになった瞬間です。
「背番号7」

試合に戻ります。
同点に追いついたこの時残り8分。やっぱり強い高知商業。
ロスタイムに入ろうかってところで1点取ってくる。どうしてそのこぼれ球がたくみの前に転がるかなぁ。

ロスタイムです。
落ち込む選手に監督の先生が叫びます。
「こっからやろうが!」

センターサークルに向かう涼太も手を叩きながら周りに声をかけてます。たくましくなったなぁ。そういう時に声出せる選手、好きです。

そこからまだドラマがあるなんて思ってませんでした。最後まで戦ってほしい。それだけでした。が、最後のチャンスを活かす丸の内。ロングスローから同点ゴールを決めたところでホイッスル。また叫んだ。
すごい試合です。本当にすごい試合を見てました。しかも「勝つでこの試合!」って本当に思ってました。

延長突入。
延長後半、また涼太がビッグチャンスを作り出しました。コーナーキックからのサインプレー。キッカーが選んだのは単純に上げるのではなく、フリーの味方にグラウンダーのパス。後で聞いたら「あれは時々やるプレー。ボール置くときにアイコンタクトがあったきね。」
ここからのシュートは惜しくも本当に惜しくもポストにはじかれる。でも頭を使ったナイスプレー。
あの場面でゴール前に放り込んで混戦からあわよくば、ではなくて確率が高く思える相手の裏をかくプレーを選べる冷静さ。おしゃれ。俊敏さとか身体の強さではないところで勝負してきた涼太の真骨頂。親バカですみませんが、ここにもヤットさん的スタイルを垣間見ました。

そして延長は両チーム無得点。
「2-2」で試合終了。
勝負はPK戦へ。

涼太は3人目で決めました。
が、試合には敗れる。強豪校の強い気持ちに押し切られ、PK 3-5で丸の内の長い戦いが終わりました。ナイスゲーム。

相手5人目のシュートが入って勝敗が決した瞬間、うなだれ膝から崩れて芝に突っ伏す仲間のゴールキーパーに真っ先に駆け寄って肩を叩いたのが涼太でした。
これを見た時に一番泣きました。さすがです。いい子だ。いい子に育った。


本当に全部見せてくれました。ハイライトのフリーキックだけじゃなく、リードされた場面で味方を鼓舞している涼太。最後の場面でGKを気遣う姿。試合後にライバルであって友達でもある相手チームの選手に呼ばれて一緒に写真を撮る姿。応援席に挨拶に行く胸を張った姿。

最高でした。

応援席とは反対のスタンドで1人で見ていた僕の方に帰って来た時に見せてくれた晴れやかな最高の笑顔。やりきったねぇ。

目があって最初の言葉。 最高の笑顔で

「だれたー!」

よくやった。カッコよかった。
こんな感じを味わえる親、なかなかおらんろ。

小学校1年生からサッカー少年。
高校3年生までサッカー少年。

肉離れもありました。骨折も捻挫もありました。

6歳でサッカーを選び素敵なコーチと素敵な仲間に出会って楽しくって泣いて喜んでボールを蹴って、少6でこんな選択。
2009年12月12日
FCコラソンへ。

3年後はまた次の選択
2012年11月19日
丸の内高校サッカー部へ。

そんな選択と努力の積み重ねがこの日の大きな舞台にこの日のFKに繋がってるわけで。

今涼太の周りにいるライバル達と違って、足が速いわけでもなく身体能力が高くもなく、スピードとスタミナに欠けて1対1ではやられてしまう、小・中・高全ての年代で出会ったコーチのみなさんから「課題はスピードとスタミナ」と言われ続けた。走るのが苦手。キライな訳じゃなくて苦手。
「中学入って走る練習してスピードがついたら」「高校入って無茶苦茶走らされてスタミナがつけばいい選手になるはず」思い続けてきたけれどそこは高3の今でも埋まったとは言えません。
そんな選手がパスの技術とキックの精度と視野の広さと戦術眼とかアイデアとかいわゆるサッカー理解力で勝負してこの舞台に立つ。想像してませんよ。
走れないと話にならない現代サッカーでは少し時代遅れ感もあるファンタジスタ的なプレースタイル。それでもここまで来た。最高にカッコよし。

そして最後の2試合、フル出場で走り切ってドリブルで勝負する姿もヘディングで競る姿も相手のキーマンをマンマークで抑える姿も身体を張ってイエローカードをもらう姿も見せてくれました。

そして最後の大舞台の翌朝の新聞でこんな風に褒めてもらえる。

「中盤の笹岡らが100分休むことなく上下運動を繰り返した。」

1番苦手なとこを最後の最後に褒めてもらえた。すごいなぁ。あー、褒めてばっかり。

涼太の18年、サッカー始めての12年。全て自分で選び取り、素敵な仲間と出会い素敵な指導者に巡り合う才能。たぶんこれが彼の一番の才能だと思います。

だから心配なし。これから先も心配なし。

充実感と達成感と満足感。
それから負けて2日後くらいからじわじわ起き上がってくる悔しさ。「あー、もう一試合見たかったなー。PK負けかー。決勝やったのになー。」

人間欲張りです。

自慢の息子の高校サッカー選手権。高知県でベスト4。準決勝敗退。
これから先、これ以上おもしろくて興奮するサッカーの試合を見ることはありません。ワールドカップだろうがチャンピオズリーグだろうが。人生最高のゲームをしっかり見ました。

本当やりきったね。出しきったね。
お疲れさま。カッコよかったで。

あ、まだまだ負けられません。
僕も頑張ります。

涼太のサッカー話が続きます。

今日は準々決勝。会場は日高。
小6の時に全日で全て出し切った会場や」なんて感傷に浸りつつ、ミスチルの『fanfare』をリピートで聞いてテンション上げながら会場へ向かう。
「吹き荒れるよ 今日も見通しの悪い海原で みんな悪戦苦闘してるんだ ひとりじゃないぞ 頑張れー!」

相手はシード校。最後の時も覚悟の観戦。
「サッカーの神様、涼太に、涼太のチームにミラクルをください。」
サッカーしてないのにサッカーの神様に頼ってみたり。

試合開始。シード校相手に頑張る丸の内。フリーキックを蹴る涼太。押される、攻められる時間長い。
それでも前半「0-0」で粘る。

ハーフタイム。

ひと息ついて自分の胸が苦しいのに気づく。応援していて息がつまる。

後半開始。
フリーキックを得る。少し距離があったので涼太は蹴らず。ハーフライン辺りからのフリーキックに涼太がペナルティエリアでマークを外そうと動くのが見えた次の瞬間

「あ!飛んだ!」

ヘッドに競り勝ち、ボールがゴール方向へ力なく転がる。コロコロゴールに向かうボールに「うわー、うわー」って思ってるところに味方が詰めて先制点!

「しゃーっ!」って叫んでガッツポーズしてました。
超レアな涼太のヘディングでのアシスト。

これが後半開始5分。
ご想像通りそこからの35分が長い長い。
何度も言うけど相手はシード校です。シュートもクロスもコーナーキックもフリーキックもどんどん飛んでくる。
キーパー頑張る。DF頑張る。涼太も走る。クリアする。
「逃げ切れるかも」ってよぎった頃に相手にPKが与えられました。

監督の先生の声が響きます。
「たく(キーパーの子ね)を信じろ!こぼれ逃すな!」

また頭の中ぐるぐるです。
「あー!でも決められても同点や!けど追いつかれたらキツいにゃあ…。」

祈りました。何を祈ったのかわからないけれど祈りました。

シュートはポストに当たり最大のピンチを防ぐ!
それからもピンチの連続。長い長い「1-0」の時間。
翔悟は負傷交代。コーナーキックのピンチにベンチから仲間に声かける翔悟。
「ここ集中!やらすなよ!」

陸人も両足つって交代。後輩に背負われてベンチに帰って来た陸人が芝生に寝転んでつぶやく。
「あー、最後までやりたかったなぁ。」

みんなの思いがいっぱい見えます。泣きました。

長い長い4分のロスタイムも凌いで「1-0」勝利!

すごい。
すごい試合見ました。見せてくれました。

県体では跳ね返された壁を破ってベスト4。
そして県体でやられた高知商業との準決勝までたどり着きました。

涼太もアシストだけじゃなくいっぱい勝負したしいっぱい守ったし最後までいっぱい走った。今日は最後までフル出場。気持ち見せてくれました。
7番、めちゃくちゃカッコよかったです。

あー、疲れた。
緊張と歓喜と安堵。

次は11月3日。
「覚悟なき者は去れ あてどない流浪の旅 Nobody knows 航海の末路」

本当に楽しませてくれます、うちの息子。
また仕事サボって応援です!

刃物まつり、よく売れました。おそらく過去最高の売上。買っていただいた方、出会ってくれた方、ありがとうございました。使ってもらえてるかなぁ。

一昨日の日曜日は朝からソフトボールを2試合やってから、急いで涼太くんの試合を観に行きました。冬の高校サッカー選手権・県予選。

高校3年生にとっては負けたら引退の最後の大会です。見逃す訳にはいきません。

野市の河川敷の会場に着くとものすごい強風。バニーアイズのユニフォームのまま、すごい場違い感を感じながら涼太のアップを眺め、あがってくる時に声をかけました。

「風…。」
「うん、すごいねぇ。」
「味方につけろよー。」
「OK!」

試合開始。前半は風下。本当にすごい強風。風と相手の勢いであっさり先制を許す。反撃しようにもゴールキックが風に戻される、クリアしたボールがふわふわ返ってくる。頑張ってる間に2点目も奪われました。(相手の2点とも涼太のコラソン時代のチームメイトに決められる。昨日の仲間が今日のライバル。今でも仲良し。)

本来攻撃の形を作り出す涼太(ポジションはトップ下)にボールが入りません。 ほとんど相手側にボールを運ぶことすら出来ず、自陣での長い長い守りの時間。
見てるこっちも「前半はよ終われー。後半風上になってからじゃないとなんともならんー。」って気持ち。

なんとか0-2で踏ん張りハーフタイム。
「2点か。厳しいなぁ。」って思いながらも希望を持って後半開始。

が、しかし!
ピッチに涼太がいませんでした。前半のみで交代!

ベンチ脇でスパイクを脱いで頭を抱えたり芝生に憤りをぶつけたりする涼太が見えます。6歳から続けて来たサッカーがあと40分で終わるかも、って時にピッチに立てない悔しさ。よく分かる。あとで聞いたら泣いてたらしい。悔し泣き。怒り泣き。

見てるこっちもそうですよ。
「先生、2点取らんといかんのに涼太引っ込めていいんですか…。一回戦は3つアシスト決めた選手ですよ…。風上に立ってさぁこれからって時に攻撃の形を作り出せるスペシャルなパサーを下げてどうやって点を取るんですか…。」
監督批判ごめんなさい。僕は涼太ファンです。

こうなってしまった状況を理解してから試合を眺めながらも頭をぐるぐる駆け回る想い。
「まじかー。涼太の高校サッカー、ってかサッカー人生がこんな強風のせいで、しかもベンチに下がってその瞬間を迎えるのかー。残酷過ぎるー。そんなドラマありながー。将来大人になってこれも思い出として笑って振り返れるがやろかー。辛いー。終わってなんて声かけたらえいがよー。」

と同時に、ベンチ横でふてくされて駄々をこねる涼太を見て
「今、そんな態度じゃだめやろう。今こそ味方のために声出して、ベンチからできることをやり切らんと。」とも思う。

そんな中、味方のFW陸人(鴨田FCからのチームメイト)がPK獲得。シュートも決める。「1-2」
これでだいぶ頭が切り替わり、逆転すれば涼太にも次のチャンスが生まれるってことが頭に浮かんでくる。もう応援です。祈りです。
ベンチの涼太も少し気をとりなおして芝生に正座して味方の逆転を祈ってる様子。
でも、コーナーキックやフリーキックのチャンスの場面になる度に、もんどりうつ涼太。「俺ならもっといいボール蹴るのに!」って心の声が聞こえて来ます。
僕も同じです。
「あー、涼太がおったら…。先生、やっぱり点取るにはプレースキッカー置いちょかんといかんかったがやないがですか…。」
涼太ファンですから。涼太ファンも心で叫ぶ。
それでも味方の頑張りで追いつく。「2-2」!涼太も芝生に正座で拍手。

さらに、陸人が点を取る。取ってくれた!涼太も正座でガッツポーズ。
「3-2」逆転!試合終了!生き延びた!

試合後、陸人に声をかけます。
「ナイス、陸人!ありがとう!」
そしたらこんな粋な答えが返って来ます。

「涼太泣きよったきね。頑張った。」

うれしいねぇ。小学校時代から知るサッカー少年のたくましい姿。成長。

自分で勝手に紆余曲折を感じながらも、ベスト8進出です。

心の中でいっぱい文句言ったけど、「0-2」から涼太を外してきっちり逆転したのだから先生の采配ズバリです。
本当にこんなに風の影響ってあるがやね。実感する試合でした。怖い怖い。

涼太を送る帰り道の車の中
「終わったと思ったね。」
「うん、俺のサッカー人生これで終わりかって思った。ハーフタイムの間ずっと『まだやれます!』って先生に言いに行こうか考えよったし。」
「けどあれで逆転したってことは先生の采配ズバリってことやきね。」
「やねぇ。」
「あと一週間、しっかり練習で気持ち出しちょき。先生に『あ、涼太目の色が違う。この前の交代が効いたかにゃあ。』って思わせんと。じゃないとまた替えられるぞ。いつもより走る。いつもより声を出す。今日先制された時とかも周りにいい声かけは出来ゆうき、そういうのをもっともっと出せばいい。『やっぱ涼太はピッチに置いちょかんと』って思わさんと。」
「うん。」
「これからはいつ終わってもおかしくない試合になる。最後ピッチにおりたいろ?」
「うん、頑張る。」

頑張れ。
もうサッカー少年にこういうアドバイスをする機会もなくなるがやね。
最後やきもう一回LINEしちょこう。

ベスト4をかけた試合は土曜日です。
また仕事サボって観に行きます!

今週末は刃物まつりです。
10月17日(土)18日(日)香美市の鏡野公園にて。

毎年出店しているのだけれど、ここ数年はブログやfacebookでは事前に告知をしてませんでした。お店にポスターを貼ることもなく。

はさみ屋に来てくれるはさみ屋のお客さんに「刃物まつり」の告知をする必要があるのか?って疑問から。
高知の主な刃物屋さんが大集合のイベントに来てもらったら別のお店のお客さんになるリスクあるやんか。

僕のブログやfacebookを見てくれている人は刃物や研ぎ直しが必要になったらはさみ屋に来てもらえる可能性の高い人ばかりなわけで。そんな人たちにわざわざ他の刃物屋さんを紹介する感じ。宣伝の必要はないって結論でした。

が、しかし、今年は思いが違ってます。
いろんな刃物のお店が集まる場所で全部しっかり見てもらって、その上ではさみ屋を選んでもらえるようになるべし。
そんな気がしております。

他の刃物屋さんとは違う道を歩けてる自信も出来ました。みんなが歩かん道を見つけた自信。
そこから生まれる「他所のお店で商品と価格を見比べてもらっても大丈夫」って気持ち。

さらに言えば、はさみ屋のお客さんがうちで刃物まつりのポスターを見て刃物まつりに行って他のお店で包丁買っても大丈夫、って気持ち。わかる人はきっと帰ってくるに違いない、って思い込み。

そこまで受け入れる覚悟って言うと大袈裟やけど、受け入れる態勢が整ったような気がしてます。
値段や見た目だけで選んでもらいゆう訳じゃないぞ、って他の部分の努力への自負もあるしね。

この前岡山の居酒屋で聞いたセリフ
「浮気してもらって大丈夫。浮気してもらったら一番自分の腕やサービスを理解してもらえる。その先にまた帰って来てもらえるような仕事を目指していけばいい」ってことやね。

たぶん目指して来たしこれからも目指し続けます。

刃物まつりは17日(土)18日(日) 鏡野公園にて

お待ちしてます!

あ、10月。

長男・涼太くん(高3)の進路が決まりました。理容美容の専門学校に合格。
はさみつながり。これもまた職人の道。

自分で見つけてしっかり悩んで自分で選んだ進路。いろいろアドバイスはしたけれどきちんと自分で決めました。応援します。

残り少ない高校生活。進路も決まり、これで冬の高校サッカー選手権に集中です。
小学校一年生から続けて来たサッカー人生の集大成。泣いて笑って走って転んでケガして、毎日毎日よく頑張った。好きこそものの上手なれ。僕はひそかにまだ続きがあってこれでサッカー人生が終わるとは思ってないけど、とりあえずは一区切り。

今週末は刃物まつりに出店するのだけれど、見逃せないので刃物まつりを抜け出して一回戦から見に行きます。

あと何試合見れるかなぁ。

将来の仕事が見えて来たり、「車の免許取りに行かんといかんねぇ」って話が出たり、サッカーを引退する日が近づいて来たり、どんどん勝手に大人になっていく18歳です。

もう1人、全然将来が見えない次男・凜くん(高1)。
バンドデビュー。高校入ってサッカー少年からベーシストに転身しました。
学園祭でのデビューライブを見て来ました。半年でまあまあ形になるもんやね。彼は器用。

演奏終わって楽器を片付けながら思い出したようにマイクに向かって歩いて来て

「あのー、1年6組でおいしいパン売ってます。買いに来てください。」

クラスの物販をPR。こういうものおじしないとこ、発信すべきことに気づくとこ、素敵です。
「パン売ってます。」じゃなくて
「おいしいパン売ってます。」
このセンス大事。

それぞれがしっかり着々と大人になっていて、それぞれの持ち味を発揮していて頼もしいし、見ていて楽しい。
この先もどんな道を歩くのか。

果てしない未来。楽しんでください。
43歳だって無限です。

今日ご来店の作業着姿の植木屋さんに
「休まんがですね。」って言われて
「はい、休まずやってます!」
「人のこと言えんけど。」
「あー、休まんがですか?」
「天気えい時にやっちょかんとねぇ。いつ降るか、いつ台風が生まれるかわからんき。」
たしかに。お天気に左右されるお仕事は大変や。

日曜日は予告通り『神楽と鮎と酒に酔う』に出店。

まっちゃん(いの町の農家さん)のお母さんが包丁を、栄枝くん(いの町の工務店さん)のお父さんが包丁と植木鋏を買ってくれました。全て顔見知りの売り上げ。もうちょっと酔っ払った勢いで売れるかと期待したけど。
顔見知りに選んでもらえる幸せを感じて良しとしました。もちろん未来に繋がるPRはしたし、日がくれてからの販売も良い経験でした。

昨日の月曜日の敬老の日は県外客さまご来店。三重県津市からのご家族連れでした。ご主人と奥さまと娘さん。

「包丁見せてください。」
「はい、普通に使う万能包丁ならこちらです。」
「いや、こっちのストライプのやつ。」

道の駅のくらうどさんで見て来てくれたようで、「TOSA no DAICHI 」あっさりお買い上げ。

「仁淀川で遊んで高知アイスでアイスを食べてくらうどでお風呂に入って、そこで見つけて来てみました。」

おー、いの町満喫。
その満喫コースにはさみ屋が組み込まれた幸せ。
仁淀川に感謝、くらうどさんに感謝です。

こんな感じではさみ屋にも波及しているシルバーウィーク効果。

9月のイベント出店も終わり、大忙しの月末がやって来てます。
こいつ↓が襲って来てます。

ふるさと納税、イベントに出店しゆう場合じゃないおそろしさです。今年度の受注はすでにストップしましたが、9月末までに発送の約束分をやっつけんといかんので、明日からも頑張ります。

「商品そのものをただ売る(作る)だけでは選ばれにくくなっている。」
どこかで聞いてメモっちょった言葉。だから「使ってもらうまでの努力」と「その先の努力」が大事。

一昨日、刈込鋏を買いに来てくれたお客様。

「商工会に入っちゅうろ?」
「はい。」
「何年か前の総会で『今年は刃物屋さんが進行役やった』って女房が言いよった。」
「あー、議長しました!」

自分の町に鍛冶屋がおるって認識してもらえた瞬間やね。
横の繋がり。組織に属するメリット。そこで目立つメリット。
目立って損はない。自営業なら。

「それからこの前、息子がここで包丁買って良かった言いよったき、鋏を買いに来たがよ。」

息子さんからの口コミは強い。

あっちとこっちの情報がつながってお店に来てもらえる。買って使ってもらえる。

だからあっちでもこっちでも発信していかんとね。

という訳で、日曜日はイベント出店です。

土佐の豊穣祭
『仁淀川・神楽と鮎と酒に酔う』
9月20日(日)雨降ったら翌21日に順延
15:00~20:30
仁淀川波川公園にて

仁淀川の畔で夕暮れから夜まで、竹灯りの幻想的な雰囲気の中、和太鼓・スティールパン・馬頭琴の演奏、ベリーダンスや鮎の火振り漁、池川神楽を見ながらお酒を飲んで酔っ払うイベントです。
本当にいい感じのおすすめイベントです。

過去数年間は町の仲間とラーメン売ったり餅を作って売ったりしてましたが、今年は自分の仕事で勝負します。
酔っ払うイベントへ刃物売りに行きます。

そんなに売れるとは思ってないけれど今までとは違うお客様に認識してもらうチャンスやきね。

「あ、いの町にも鍛冶屋さんがおるがや。」

これが一番重要。売れないのはもう怖くない。知ってもらうことさえ出来たらその先がある、と思い込んでます。どうにかこうにかその先を作って来たし。

イベントの詳細はこちら↓
『仁淀川・神楽と鮎と酒に酔う』

遊びに来てください!

ちょっと忙しく働いてますよアピールのためにブログ書くのをちょっと先延ばしにしてたらひと月経ってました。

なので少し前のことになりますが、はさみ屋の包丁の柄をデザインしてくれたデザイナーさんが香川のビジネス情報紙(ビジネス香川)にインタビューを掲載されてうちの包丁の写真もばっちり載っけてもらいました。
記事のweb版はこちら↓
http://www.bk-web.jp/2015/0702/next.php

この出会いは本当に大きな大きな出会いになりました。
思わぬ所から提案されて、なんとなく取り組んでなんとなく販売し始めたかわいい包丁が販売開始から丸2年間で約100丁の売上実績。

(たまたまですけど今日は朝に夕方にふたつ売れました。左から2番目と3番目。また作らんといかん。)
2年で100丁をヒットというのかはそれぞれ考え方があると思われますが、従来の品と材質も切れ味も変わらない包丁の柄とパッケージがかわいくなって、値段が倍以上になってどれだけ売れるがやろ?選んでもらえるがやろか?って思っていた僕にとっては衝撃の大ヒットです。

さらにそこから雑誌やテレビや新聞に取り上げてもらってはさみ屋の認知度は格段に上がったはずやし。チャレンジして良かった。
まぁ、僕にとってはチャレンジでもなんでもなく、四国経済産業局さんが作ってくれたデザイナーさんとの出会いのレールに乗っかってここまで連れてきてもらった感覚ながやけど。

素敵な包丁が完成したあとも、店舗改装の際には看板のデザインをお願いしたり、新しい名刺をデザインしてもらったり、包丁の取り扱い説明書を作ってもらったり。たくさん力になってもらってるデザイナーさんです。

本当はこれが一番大きなメリットなんだなぁ、ってことに最近気付きました。
商品も看板も名刺も、デザインが必要な時に気軽に相談出来るデザイナーさんがいる。そのデザイナーさんはうちの仕事の内容や目指す方向をしっかり理解してくれている。こんなに心強いことはない。
その結果、商品だけじゃなくてお店や名刺やいろんな場面でトータルのイメージで発信出来る。
あんまり意識することなく動いていたのだけれど、ある人にこの点を「イメージが統一されていていいですよね。」って誉められてあらためて認識しました。
1人のデザイナーさんにいろいろお願いすることで、全部のイメージが繋がっていって、それを笹岡鋏製作所のブランドとして育てていく感じ。とってもいい感じ。

そもそも「伝統工芸×デザイン」てのはすごく相性いいはず。もともと伝統の技があるわけで。そこをどう見せていくか。もっともっとデザイン取り入れて発信すればいいのに。やる人なかなかおらんろうけど。可能性はいっぱいあると思います。

かかりつけのデザイナーさんを見つけたはさみ屋は、そのありがたみを実感していてその力を目一杯利用して、お客さんにとってのかかりつけの刃物屋さんを目指します。

「俺の行きつけの刃物屋へ連れてっちゃろうか?」
こうなったら素敵やね。

刃物のことならここに相談。
そう思ってくれてるお客様、だんだん増えてくれてる気もしてます。

出会うまで、知ってもらうまではデザインの力やったりテレビや新聞の効果があったりイベント出店の成果やったり。
その先、「行きつけ・かかりつけ」になるかどうかは品質や技や腕次第。

頑張ります。

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