鍛冶屋日記

カテゴリー: 仕事

デザイナーさんと一緒にものづくり。

昨年秋頃に四国経済産業局さんなるところからアンケートが届く。

・デザイナーとの仕事に興味ありますか?
「ありますよー。」
・その場合不安な点は?
「報酬っていくら必要?」

他はあんまり覚えてないけれど。
書き込んで返送したら電話が掛かる。

「デザインをする人とデザインを仕事に活かしたい人とを繋げるマッチングを考えています。興味ありますか?やってみますか?」

「はい。」

大切なのは安請け合い。

その後も事務局さんと何度か電話でやりとり。
「デザインが出来たものをいついつまでに試作出来ますか?」
「完成して販売する際に誰々デザインって表示してかまいませんか?」
「手を挙げられたデザイナーさんの今までの作品をメールします。見てみてください。」

すべてに
「はい。いいですよ。」

で、始まりました。

10日ほど前にマッチングの事務局の方と一緒にデザイナーさんがはさみ屋に来てくれました。高松から。美人デザイナー。

いろいろ話しました。

それから一週間でいくつかの案をメールでいただきました。

こういう人の仕事の仕方はやっぱり勉強になる。
僕との会話の中から見つけてくれた
「はさみ屋の強み、弱点、狙うべきターゲット、そのための戦略」
をきちんと提示してくれる。

それは自分でも普段から漠然とは考えていることではあるのだけれど
「ここが強み→それを活かすべし→そのためにこれをやってみよう!」

わかりやすい。
動きやすい。
こういう脳みそで仕事したい。

もちろん自分では絶対回り込むことが出来ない視点からのアイデアもいくつか。これも楽しい。

それと一緒に

「実際に包丁使ってみて考えてみたいので送ってほしい。」って。

これうれしい。
大事なことや。
お送りしました。

こんな感じで新しい仕事が始まりました。

さぁ、何が生まれるがやろ。
楽しみです。
楽しみます。

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あけましておめでとうございます。

昨年を振り返ってから新しい年へ向かう。

昨年は数年間かけて蒔いて来た種の成長を感じた一年。確実に仕事の仕方や売り先、お客様の変化が見えてきました。
どんどんどんどん忙しくなって蒔き過ぎ?って思ったりしますが収穫したい果実が育って来てるので間違ってないんじゃないかと思えております。

今までは声を掛けられるまま導かれるまま広く広く種蒔きして来たけれど、これをもっと成長させるには蒔くのを少し我慢して今芽を出しつつあるものにお日さま当てたり水をあげたりする必要がある。

今後もきっといろんな人がいろんな畑を提示してくれるだろうけれどこれからはもっと厳選しなければ。

ずっと収穫させてもらって来た畑も取捨選択の対象にしなければ。

それをじわじわ移行するのか、劇的に変化させるのか。考え中。

いずれにしても、育てる果実、収穫する対象をより明確にして行くべき年になると思います。

「全部は無理」ってようやく気付く。
つまりは「全部しなくても大丈夫」ってことかも。

ただ一つだけ、今年は早々に新しい種を蒔きます。

きっとおもしろいことになるはず。たぶん儲けにはならないけれど。
近いうちに発表出来ると思います。ご期待ください。

さぁ、仕事始めです。

今年もいろいろあちこちがんばりますのでよろしくお願いいたします。

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今日は吾北で『山のそらの森のめぐみ市』に出店。
楽しいイベントながらお客さんは少なめ。久しぶりにのんびりイベント。
あまりに寒かったのでマイスプーン作って来ました。森の恵み。

土曜日の出来事。

少し前にホームページで植木鋏を買ってくれたお客様から再びご注文をいただく。違う形の植木鋏と包丁を一つ。
「包丁はプレゼントしたいのでラッピング出来ませんか?」
ペーパーラボ(いの町の和紙屋さん)へ走る。
町内連携。完成。発送。

香川から植木屋さんがやって来る。
「近所の仲間がここで鋏を作ってもらったって聞いたので来てみた。これ研げる?」
刈込鋏を2丁研ぎ直して1丁お買い上げいただく。

さらにカップルが2組来られてそれぞれ包丁を買ってくれました。
確実に僕より若い世代。

・使ってくれた方にうちの品を誰かにプレゼントしたいと思ってもらう

・使ってくれた人がお仲間に紹介してくれる(しかも県外から!)

・手打ちの刃物の良さが届きにくいであろう若い世代の方に買いに来てもらう

目指すところです。
少し手応えを感じた1日。

特に3番目は大切。
専門的に使ってる植木屋さんとかに見つけてもらうのとは少し違う感触。

普通に町を歩いてそうなおしゃれなカップルにうちの品を選んでもらえたうれしさ。クリスマスプレゼントやろか?

この前は七色ロードで包丁を見てくれた20代前半な感じの若い女の子が後日実際お店に来てくれて「プレゼントしたいので名前入れてください。」って買ってくれたし。

間違ってない気がします。
このままこのまま。

少し作るのが間に合ってないくらいになって来てます。

来年はそこをなんとかせねば。

ボランティアは強制するものじゃないろ…。
「私は無報酬でこんなに自分を犠牲にして働いてますのであなた達ももっとタダ働きしなさい。」っておかしいと思うなぁ…。やってもらいたい気持ちはわかるけどそれじゃ誰も動かん。

「この作業しても少ししか対価は払えません。タダ働きになるかもしれません。でもこういう理由で必要な作業なので、みんなで手分けしてやりませんか?」とか言ってくれると全然違うのだけれど。

ある程度払う財源はきちんとあるし。その作業に対価が払えるようにもっとお金を生み出すシステムに変える必要もあるかもしれん。

そんなこと言うと「何言ってんの?」って変な人扱いされる場所なのでここ2年くらい黙ってました。出来るだけ波風立てないように。
そしたら自分が自分じゃなくなってきて、どんどんその場所がつまらなくなるので次こそは言います。それで辞表を出すことになっても悔いはない。

自分が属するいくつものグループや活動の中でそこは唯一直接稼ぎに繋がる場所なのだけれど。

その場所をより良くしたいと思って加入して数年間は意見言って戦ってました。けれど、そうじゃないって理由の説明も説得も無く、ただため息つかれて、「はいはい…、またですか…。」みたいな空気を流される。(議論して戦って納得させてくれたら言うこと聞くのに。たぶん誰より動くのに。)
周りの誰も味方してくれなくて(敵にもならないのだけれど)、やる気なくして意見を言わなくなって義務付けられたことも忙しさを理由にサボってしまって。どんどんダメになる。

でも、仕事をくれるからフェードアウトも出来ない。

いかんよね。

ここを耐えるのが大人ながやろうにゃあ…、お金になるし、って思って黙ってやり過ごしてきたけれど。

どんなに分からず屋扱いされても違うと思うことは違うって言うべきや。今更ながら。

来年は退場覚悟で暴れることにします。

向こうからしたらさぞかし「めんどくさいヤツ」やろうねぇ。

でも、やる。

「無防備な夢想家」ってフレーズを聞いたけど「無防備な理想家」の方がいいと思いました。

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金曜日
岡山からお客様。以前にも一度ご来店いただいたことのあるナイフ作りが趣味の方で鋼材(鋼と鉄をくっつけたモノ)のご注文をもらう。
「これから宿毛へ釣りに行くんやけど、その前に寄ってみた。」
しかもおみやげまでいただく。きびだんご。

土曜日
和歌山からのお客様。
「道の駅で見たんですけどお店まで来てみました。」で、お刺身包丁をひとつお買い上げ。
『くらうど』さんのアンテナショップぶりはすごい。どんどんお客さんを連れてきてくれます。

さらに、神戸からのお客様。若い植木屋さん。
「神戸で働いてるんですけど実家が徳島なんで。ホームページで見てて買いに来ました。」
お目当ては刈込鋏だったみたいですがひとつ小さい植木鋏を見つけて「あ、これ欲しい。」って。どっちにしようか悩んでましたが、最初の目的通り刈込鋏をお買い上げ。はさみ屋は逃げないのでまた来てください。お電話くれてもお送りします。

facebookを覗いて「あー、みんな休みか。」ってねたんでひがんでだいぶ斜めから3連休を見てましたが、3連休だからこその遠方よりのお客様。世間の休みに感謝です。

旅の行程に組み込んでくれたり、旅先で偶然見つけてくれたり、鋏を目指してわざわざ来てくれたり。

休んでられませんなぁ。

あ、本日日曜日は休み。
朝6時起きでソフトボールを3試合。

あー、休んだ休んだ。

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前回書いた記事「スペシャリスト」の内容をちょっと反省してちょっと書き直しました。

きちんと考えて丁寧に仕事をしている職人さんに出会った興奮と挫折感から「片刃の包丁に関してはこの人の品を仕入れて売った方がいいかも。」って書きましたが、その部分を削除。

はさみ屋が作った包丁を求めてくれるお客様もおるはず。
丸投げしてはいけない。
逃げてはいけない。

ひとつのことを専門的にやってる人にはある部分では追いつけんかもしれんけど、自分は自分なりに努力して良いモノを作り出していかんとね。

そしてそういう品や心意気を選んでもらえるように他の部分もしっかりやる。
そう思い直しました。

先日、刃物まつりで片刃の出刃包丁を買ってくれたお客様がはさみ屋まで来てくれました。
奥さまが普段使ってる包丁の砥ぎ直しに。津野町から。

香美市のイベントで出会えた津野町のお客様がいの町の工場まで来てくれた。

刃物まつりは出店料もまあまあ高いのでその場での売り上げも大事やけど、そこからどう後へ繋がるか、の方が大切。売りっぱなしはさびしいし、売りっぱなしはもったいない。

あの時買ってくれた包丁やあの時の会話や砥いでる僕の姿やお渡ししたはさみ屋チラシがあったからわざわざ来てくれたはず。

全部あるからこその結果。うれしかったです。

楽な道を選んではいけない。

「なんでも作る。なんでも直す。」は、やめません。

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一昨日の月曜日の午後、本物職人さんに会って来ました。
僕より少し年下の片刃の包丁の砥ぎ師さん。
鍛冶屋さんが打って焼き入れまでした半製品を砥いで仕上げるお仕事です。
片刃の包丁は鍛造と砥ぎ(仕上げ)が分業になってます。

仕事の依頼で訪ねたのですが、すっかり話し込んでしまいました。
会うのは2年振り。あの時は駆け出しだったのに見事な成長を遂げられてました。忙しそう。

本気の人は魅力的。
大きな大きな刺激をもらい、それと同時に絶望感に近い自分の限界を突きつけられた感じ。

「ひとつのことだけ極めようとする人」と「いろいろやる人」の違い。

包丁の切れ味と仕上がりの美しさ(機能美)ただそれだけを考えて生きている人。
お客様への対応や売りに行くのは奥さん、プロデュースも奥さん、商工会の活動も奥さん。
(女性ならではの感性で素敵な売り方を実践されてます。写真見せてもらったけれど素晴らしかった。)

一方、はさみも包丁もナイフも刃物ならなんでも作りますよ!って人は、自分で売りに行くし、はさみ屋チラシも自分で考えて自分で両面コピーして自分で三つ折りにする。それだけじゃ飽きたらずに中学生に放物線のグラフの書き方を教えたり、バニーアイズ(ソフトのチーム)の面倒みたり、同窓会の企画会議に毎月出たり。まちかど市の会長もやるし、七色ロードの準備もしたいし、コローザも包む。
(ホームページのオーダー対応は奥さんがしてくれます。PC苦手。)

秘書欲しいなあ…とか思うけど、きっと「任せる」ってことが出来んがよね。

もちろん全部楽しみゆうし、好きでやりゆうし、結局全部やりたいわけで。それが仕事や未来に繋がると思ってやってます。
でも、いろいろやる人が一番おろそかになっちゅうのは「技の探求」ながやろうにゃあ…、ってあらためて確認させられた感じ。
何にも削れんがやけどね。

優先順位、調整、ちょっと無理する。それしか出来んし、自信を持ってそうして来ました。向き不向き。

でも、やっぱり、スペシャリストのすごさ、かっこいいなぁ…って。

教われることは教わって活かして行きたいけれど、この分野では追いつけんろうね。

なかなか刺激的な時間でした。

「ゼネラリストとスペシャリスト」

永遠の深いテーマ。

「ヒゲとボイン」みたいなことですね。手招きされます。

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「気概であって学歴ではない。熱意であって建前ではない。」
(『神様のカルテ』より)

土曜朝のローカル情報番組『じゃらんじゃらんモーニング』さんがはさみ屋に来ました。

新高梨の直販が盛りの針木の梨屋さんの取材に来たついでに近くのお店に寄ってみようってことらしく、たまたま見つけたはさみ屋へ入って来てくれました。本当にいきなりふらっと。

「こんなとこに鍛冶屋さんがあったんですね。」

引きが強い。
そして新高梨に感謝。

前回のテレビ取材の時は全部カットされて親父さんしか映ってなかったけれど、今回は映ってるはず。

放送は少し先、11月3日(土)だそうです。なかなかもったいぶられます。

明日から2日間は3週連続売り出しの締めくくり『刃物まつり』に行って来ます。

しっかり準備して臨みたいと思います。

「カレンチャンだけを見ながらレースしました。」

先日のスプリンターズステークスでカレンチャンを差し切った岩田騎手のコメント。
字面だけ見ればアスリートとしてそれでいいのか、って感じの素敵な一言。

はい、売り出しの季節がやって来ました。

10月の予定

7日(日)
『岡山京橋朝市フェア』

今年も参戦です。
明日出発して日曜は午前3時半起床。4時半から売ります。
いの町の和紙屋さんや生姜農家さんも一緒です。バス旅行気分。
昨年かなり面白かったので今回も楽しみです。
昨年の様子はこちら。まずまず売れたしね。

14日(日)
帯屋町にて『おかみさん市』
毎月の出店ですが、今回は岡山遠征のため2週目にずれます。

20日(土)21日(日)
『刃物まつり』香美市の鏡野公園にて。
昨年から売り方を変えたのでその結果がほんの少しでも見えることを期待…。

この3週連続の売り出しに向かって作り込みして来ました。だいたい目指すとこまで来れましたが、明後日の岡山には間に合わないものも数点あり。

刃物まつりまでにはラインナップも揃うはずです。

それまでに売れて無くなるものがあったりして…。

そんな夢を見つつも、その後また作ることを思うとちょっと萎えたり。
じっとしててお金が入ってくるシステムはないものか。

でもその繰り返しです。
作って、買ってもらって、ごはんを食べる。んで、また作る。

休みの日って必要なのか?とすら思う今日この頃。

乗り切りたいと思います。

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明日は仁淀川にて『神楽と鮎と酒に酔う』でコローザ焼きます。
その前に今夜600個包みます。何時に寝れるかなぁ。

和包丁の弱点。

「錆びる」の次にくるのが「柄が腐る」です。
毎日水に濡れてがんばってるので仕方ない面はあります。

「いっつも柄がダメになる。」
ってお客様には

「使わない時は包丁立てに立てて保管してください。刃を下に、柄が上になるように逆さにしとけば水分は柄の方に行かないので長持ちしますよ。」

って保管方法をお伝えするとともに、なかなかやらんろうけどなぁ、って思いながら

「柄の差し込み口にロウを垂らしておくと水が入るのを防げますよ。」

ってアドバイスをしてました。

じゃあ最初っからしちょったらいい。うん、その方が絶対いい。

ってことで半年くらい前から新しく出来上がった包丁には柄を付けた時点でロウを垂らして防水加工。

この部分。

修理の時も柄を付け替えたやつにはひと手間施してます。

刃物としての機能には関係ないかもしれませんが、トータルで見れば小さな小さな進歩です。

あと一歩だけ前へ。

誰にも気付いてもらえないとさびしいので書いてみました。

続けます。

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