書きたくて書きたくてたまらなかったこと、書きます。一ヶ月溜めてました。
5月のG.Wに行った有田の陶器市であるお客様に出会いました。
1日目の終わり間際に一人の若い女性がうちのお店の前で足を止めてくれました。
「あ、興味持ってくれた!」ってビビッと感じたので声を掛けました。
でも何だか急いでるような雰囲気があったし、こっちもそろそろ片付けようかってタイミングだったのではさみ屋のチラシをお渡しして「ホームページもありますのでまた見てみてください。」って、だけでお別れ。
翌朝、陶器市2日目の出店準備が完了した頃、はさみ屋のお問い合わせフォームから佐賀の有田までメールが飛んで来ました。
「有田陶器市で水玉とストライプの柄の庖丁に興味を持ち、笹岡鋏製作所さんのチラシをいただいた者です。
今日は食器探しが目的で有田に行ったので、あんなに可愛い庖丁に出会えると思わず、しっかり手にとって見せていただかなかったことを、帰宅してから悔いています。
ブログを見ると明日も出店されているとのことですが、福岡県在住なもので、気軽に有田まで見に行くことができません。
そこで、あの庖丁の種類や大きさ、お値段などを教えていただけないでしょうか?
お忙しいところ申し訳ありません。
こちらは急ぎませんので、お返事はいの町に帰られてからで結構です。
よろしくお願いいたします。」
もうね、KOです。ノックアウト。
読んでからうれしさにちょっと震えました。
たまたま通りかかって、偶然デザイン包丁を見つけてくれて、ほんの一言二言交わしただけの方がその出会いからブログまで覗いてくれてメールをくれる。
最後に「お返事はいの町に帰ってからで」って。「いの町」って単語が光って見えました。
この時点で有田に誘ってくれた花村さんと会場の陶山神社の宮司さんには宣言しました。
「このメールもらえただけで僕はもう有田に来た甲斐がありました!」
言われた通り、佐賀遠征を終え、いの町に帰ってゆっくりお返事メール書きました。気になってはもらえているけれど、あの時あの場所ではしっかり見れてないようなので写真も添えて。お値段、サイズ、それから僕が伝えられる全ての情報を。
ここで、デザイン庖丁を一緒に作り上げたデザイナーさんと木工職人さんにはご報告。
「こんなうれしいメールもらいました!注文もらった訳じゃないけどちょっと感動してます。」
ご予算とお値段が合わないってこともあるし、思ったサイズと違うってこともある。
こうやって気になって連絡いただけただけで充分。
これがデザインの力。ドットとストライプは完璧に役目を果たしてます。
それから約一ヶ月は普通の生活。ふるさと納税に追われる生活。
5月が終わろうとするある日、このお客様からお電話がありました。
「刃が引っかかって切れなくなった裁ち鋏が出て来ました。研いでもらえますか?それと一緒にドットの庖丁も送ってください。」
うれしかったです。
電話を切って一人ぼんやりと感動。
裁ち鋏が届きました。
お手紙が添えられて。
研ぎ直しご依頼の鋏がご両親から贈られたものでとても大切なものであること。
切れなくなったけれど何処に修理に出せば良いかわからず、ずっとそのままにしてあったこと。
はさみ屋チラシを読んでくれて研ぎ直しを頼もうと思ってくれたこと。
このブログを読んだ上で研ぎ直しを頼んでも大丈夫だと思ってもらえたこと。
「この鋏でまた布をジャキジャキ切れるようになると思うととても楽しみです。」
庖丁はご自分のお誕生日に注文する予定だったこと。
けれど研ぎを頼みたかったので同時注文にしました、って。
「庖丁も楽しみです。一生大切にしたいモノに出会えたような気がしてます。」
すごいでしょ。はい。自慢です。
こんなお手紙もらったら手ぇ抜けません。いや、いっつも抜いてないけど。それでもやっぱりいつも以上にしっかりやりたいと思ったのは間違いない。
で、研ぎ直しして一昨日庖丁と共に発送。昨日到着。
さらに物語は続きます。
Facebookを通じて到着のご連絡をいただく。
「メールの写真で見た以上に可愛いです。」って。
Facebookで探してくれました。メッセージをくれました。
庖丁の写真もアップしてくれてました。いいね!しました。シェアしました。これがこのお客様との物語。
ここからは僕の気持ち。
なんかね、本当にうれしい出会いです。こんなのなかなかないです。
今まで出会ってくれたお客様、ごめんなさい。そういう意味じゃないので誤解なきよう。特別感の説明します。
その理由。
僕がここ数年やって来たこと全部が全部、本当に全部が活きて今回のご注文になった感じがする訳です。
4年前にアンテナショップ出品のためにはさみ屋チラシを作ったこと。
研ぎ直しは最も需要があって、一番簡単にはさみ屋の技術をわかってもらえる仕事として、ずっとずっと大事にしてきたこと。
これは親父さんの時代から。
それをチラシでアピールしてきたこと。
思うこと考えることやってることをこのブログに書いて来たこと。
デザイン庖丁に取り組んで完成したのは1年前。
そして、お誘いに乗って佐賀県有田へ出店に行ったこと。
お誘いは飲み会の席でした。
お誘いいただいたのは町の活性化なる名目で日々動いてるからこそ出会えた福岡の方。
何一つ無駄になってないやん。
自慢です。
「どうだ!」って感じです。
んで、どれか一つ欠けてたらこのお客様のところへ届いてないような気がします。
水玉の庖丁も心意気も。
そんなに深く考えて動いてる訳じゃないけど、やった方がいいと思って積み上げてきたこと、自然に任せて出来てきたいろんな人とのつながり。
その全てに対して
「大丈夫。それ、間違ってないよ。」
って言ってもらえた感じ。このお客様に。
まぁ、お問い合わせのメールもらった時点でほぼ同じ感動をしちょったがやけどね。本当に。
そんなこんながあるからこそ、一つ庖丁をお買い上げいただいて、鋏一つの研ぎのご依頼をもらっただけで、お客様が引くくらい喜んでます。感動してます。
本当に一つ庖丁が売れただけ。
でも、うれしい。
誰より僕が一番うれしい。
きっとまたいつか、こんなことが起こるはずなので、これからも一個ずつ積み上げたいと思います。
いろんな人といろんな場所と繋がってみます。
長い長い文章を書き上げた結果、自画自讃でした。ごめんなさい。
「それ、間違ってないよ。」
だから、今まで通り、続けます。