鍛冶屋日記

カテゴリー: 仕事

春が別れの季節であるということに久しぶりに気づかされた3月の終わりでした。人事異動め。感謝を伝えて楽しく送り出すしかなく。
飲んだ飲んだ。泣いた泣いた。吐いた吐いた。泣いて吐いて寝て起きたらもう新年度始まっちゅうし。窪内さんも遠くに行っちゃいましたよ、花村さん。ずっと一緒に真剣に遊べたらいいのにね。

5年。5年が長いのか短いのか。一年があっと言う間で「あ、朝倉会もう一年やってないやん。」なんて考えると5年もたぶんあっと言う間。

えーと、なぜ5年について考えたかというと5年前に宣言した目標の結果を検証しなくてはならない時が来ました。
2011年のたぶん3月20日に同級生2人の女子の前で発表した目標。その時は書いてないけどそれから後、この時にブログにも書いちゅうね。

「あと5年で高知で一番の刃物屋になる!」

ワンピース的な。
達成出来たなんて全然思ってません。
が、鍛冶屋として仕事として思う方向にはしっかり進めたと思ってます。
取引先の注文に左右されない売上。自分で値段を決められる状態。お客様と直接やり取り出来る態勢。
5年前に「この方向に進めば一番になれるろ」って思ってた道は間違ってなかったと思います。高知で一番にはなってなくてもしっかり結果も出て来たし、このまま進めばもっともっといい感じになる自信はある。
これからきっと大きな大きなピンチな出来事が起こることも簡単に想像がつくけれど、大丈夫。

5年前もこの5年間もこの訳のわからない自信でここまでたどり着けました。

一番をこじつけて考えるなら
・高知で一番小学校時代の同級生と遊びゆう鍛冶屋(25歳からほぼ毎月)
・高知で一番麻雀が好きな鍛冶屋(あー去年の11月からやれてない)
・高知で一番高校の同窓会の壇上でスピーチしゆう鍛冶屋(この一月に5回目達成)
・高知で一番イベントの実行委員長な鍛冶屋(これも3回くらいはやったね)

こうやって限定していけば一番なんて結構あって(調査した訳ではないので2番かも3番かもしれんし、もちろん鍛冶屋の枠を取っ払えばこんな人はいっぱいおるがやろうけど)、そんなせまい範囲の一番でもそれがいくつか積み重なればそれはそれでしっかりオンリーワンになっていくわけで。

そしてそのオンリーワンさが僕らの仕事には大事であって。オンリーワンだから知ってもらえる機会が増える。「鍛冶屋です。刃物作ってます。」を知ってもらうことが大事。印象付け。

単純に「鍛冶屋」より「麻雀が大好きな鍛冶屋」とか「仁淀川を活かして町を元気にする会議に出る鍛冶屋」とかの方が印象付くよね。
もちろん「いつも笑顔」とか「仕事が丁寧」とかも同じこと。

全部全部積み重ねて、自分自身をブランディング。
好きなことやっていろんな場所で楽しんでそうなっていけば最高やと思います。
そうして来たし。

さぁ、5年後どうなっちゅうがやろ。
明るい方が未来です。絶対に。

「見よってください。」

先週土曜日に高松で開催された『デザインサミット in 香川』にて事例発表してきました。四国経済産業局さんの「モノづくりとデザインのマッチング事業」の事例発表です。デザインを取り入れた包丁のお話。150人の前で。

150人を前にして話す機会なんてなかなかないきね。
でも、同窓会で20数年ぶりの同級生120人の前で幹事代表のスピーチした時の方が緊張したなぁ。あの時はガクガクやった。その経験も活きちゅうに違いない。

今回は自分の経験してきたことを話すだけやし。

150人に聞いてもらって少しでも一歩踏み出すきっかけになれば、と思って半日かけて台本を書いたのでここでも発表しときます。
内容は「いいことばっかりやったよー。みんなもどんどんやればいいよー。」です。

与えられた時間15分の原稿です。
長いですけど、ご興味あればご一読ください。

【自己紹介】
みなさんこんにちは、高知県で鍛冶屋をやってます、刃物を作ってます、笹岡鋏製作所の笹岡悟です。
モノづくりとデザインのマッチング事業の事例発表ということで本日お話しさせて頂きます。よろしくお願いします。

【自社紹介】
まず当社の紹介ですが、父が大阪の堺で修行して46年前に現在の工場のある高知県いの町で独立。
もともとは生花鋏や刈込鋏を作り、ほぼ100%を問屋さんや小売店さんへの卸しで成り立ってました。

そこに自分が19年前に弟子入りして二人で作るようになりましたが、ちょうどバブルの崩壊やホームセンター全盛の時代で安価なステンレス製品や機械で作った大量生産の製品に押され、注文や売上は年々減少していました。

その売上減少を埋めるために鋏以外の刃物、包丁・鉈・鍬なども作るようになり、工場の隣をお店にしてイベントや定期市への出店やHPでの販売などお客様と直接繋がる場面を強化するとともに研ぎ直しや柄の付け替えなどのメンテナンスも父の時代からやってましたので「なんでも作るしなんでも直す」という強みをアピールしてなんとか仕事してきました。

【土佐打刃物の説明】
土佐打刃物とは400年の歴史を持つ高知県の伝統産業で、いわゆる鍛冶屋さんが作る手打ちの刃物なのですが、機械で作ったものとの違いとしては品質の良い鋼を職人が叩いて作ることによって出る、耐久性・耐摩耗性、つまり切れ味が長持ちするという点です。

弱点は錆びること。やはり錆びるのを嫌う人は多く、錆びないステンレス製品が普及することで、土佐の刃物は売れなくなってきています。

【時代】
ただ時代としては、「安いものを使い捨て」を通り過ぎ「良いものを長く使う」
「高品質のものをメンテナンスしながら大切に使いたい」という人が増えていることは実感しています。
問題はそういう人たちにどう届けるか、どう知ってもらうか。

「僕が作ってます、親父と二人で」これが最強の説得力であって、農家さんが顔と名前を付けて野菜やお米を売っているように職人が顔を出し直接お客様とやりとりして「錆びます」ということも含めて説明しながら売っていく・買ってもらうを繰り返していく中で、選んでもらえる自信は出来てきました。
事実、卸の仕事は今も順調に減ってますが、直接買ってもらったり研ぎ直しを頼んでいただけるお客様は確実に増えてきてます。

なので、今回四国経済産業局さんからお話をいただいた時も起死回生を狙って取り組んだ感じではなく、デザインを取り入れることに興味はあったし、払える範囲の費用で出来るならやってみます、という感じで始めました。

【事業開始・打ち合わせ】
デザイナーの平原さんとのやりとりの中で、今の自分の仕事において足りないところは、と考えた時に出てきたのは「若い女性に興味を持ってもらいにくい」ということでした。
男性は刃物に興味を持つ人が多く、また50代60代くらいの少し上の年代の女性なら、錆びるのが嫌でステンレスを使ってはいるがお母さんやおばあちゃんが昔使っていたので鋼の包丁の良さは知っているという人も多いです。

ただ使い捨ての時代しか知らない若い世代、特に女性はイベント先でもほとんど立ち止まってもらえない状況でした。

少しでも興味を持って立ち止まってもらえてお話しができれば、使い方やメンテナンスの仕方、鋼の刃物の良さなどをお伝えすることができるのだけれど、20代30代の女性はほとんど素通り。

そこをどうにか出来たらいいね、というのが課題として浮かんできました。

ここからの開発の経緯やコンセプトはデザイナーさんから説明いただきます。

〈デザイナーさんの説明パート〉

【出来上がり】
かわいい、素敵に完成しました。

【ここからは値段設定】
手間をかけて作ってもらった柄と段ボールのパッケージにはお金がかかって従来と違う柄の取り付けにも手間が余計にかかるので値段は高くなります。
倍ぐらいで売ろうと思ってましたが、2.5倍になりました。
同じサイズ同じ仕上げの従来の包丁が6000円。
デザイン入れて家具職人さんに作ってもらった柄に代わるだけで15000円。
良いと思えるものは出来たけれど、果たしてこれで売れるのか、選んでもらえるのか、という気持ちはありました。

でも、これが売れます。

【売上実績】
買いに来てくれた人や出店先で興味を持ってくれたひとには「中身同じですよ。材質も研ぎも同じ。」って言いながら売ってますが、このドットとストライプを選んでもらえる人もしっかりいます。
実際の売上の数としては販売開始から2年半でストライプが51丁・ドットが47丁。

工場併設の自社店舗と並べてもらっているアンテナショップ2軒(いの町と高知市)、あとはイベント出店先での販売がほとんどですので2年半で100丁は充分な手応えです。

さらに言えばこの100丁を買ってくれた方のほとんどはこれでなければうちの品を買ってない人達です。
切れ味や評判を聞いてきた人ではなく、このデザインに惹かれて、使いたくなったり、誰かにプレゼントしたくなった人ばかりだと思います。
そういう顧客を掘り起こしてくれたデザインです。

ここで注目すべきはうちの仕事は変わってないということです。
今まで通り、精一杯良い刃物を作る、切れる刃物を作ってるだけ。新しい形や機能を作り出した訳でも新素材に取り組んだ訳でもないってこと。

なのに、当初の目的であった「若い女性に立ち止まってもらえない」を克服し「あーかわいいー」って足を止めてもらえる確率は圧倒的に増えました。
それで一目ぼれで買ってもらえることもありますし、その場で売れなくても足が止まってお話しをする、うちのチラシを渡すことで「刃物=笹岡鋏製作所」という印象付けは出来ます。
包丁の研ぎ直しを頼みたくなった時、次に包丁を買い替えようと思った時に思い出してもらえる。これだけでこの事業に取り組んで良かったです。

【さらに良かったこと】
これは他の業種で同じことが起こるかはわかりませんが、鍛冶屋という時代遅れの昔ながらの職人の世界の人間がデザインを取り入れたことで、たくさんのメディアが取り上げてくれました。
四国経済産業局さんの事業というのも追い風になったと思います。
新聞・雑誌・テレビ・フリーペーパーに取材をしてもらい、地元いの町の公式観光パンフレットにも町の特産品として写真付きで紹介してもらってます。
全部無料であちこちで宣伝してもらえました。
地元のローカルなメディアですのでそれによってドカンと売れ出すわけではありませんが、先ほど言った印象付けの効果はあったでしょうし、もっと大きなのは今までのお客さんから「新聞でちょったね」「テレビみたよー」って人が結構いて従来のお客さんやお得意さんからの信頼度アップの効果もあったと思います。

こういう実際の売上以外の効果もありました。

【デザインに取り組んだ感想】
このようにデザインを取り入れた仕事をして良かったと思いますし、特に伝統工芸なんかはデザインとの相性はいいのではないかと思います。
もともと技術はあって品質の良いものが作られているのだから、そこにデザインが入って新しい層に向けて発信する、これ大事・有効。

【さらに!】
もう一点、今自分が一番良かったと思うことを付け加えます。
それは、平原さんというデザイナーさんと出会えたこと。
この包丁が出来上がったあと、再び一緒に「子供向け包丁の開発」に取り組み、同じシリーズで少し小さめのこの2種類が出来上がりました。こちらも約30丁売れてます。

アンテナショップなんかで4つ並ぶと2つの時とはまた見栄えも違ってきました。

その後、一昨年の秋に店舗改装の際に、看板のデザインをお願いして、そのあと名刺のデザインも包丁の箱に入れたいと考えていた取扱い説明書のデザインも作ってもらいました。

【ここから一番言いたかったこと】
何か新しいことをする時に、デザイン使えんかなあと考えるようになり、その度に平原さんに相談して依頼する。
気軽に相談出来るデザイナーさんがいる、そのデザイナーさんがうちの仕事の内容や仕事に対する姿勢をしっかり理解してくれている。
こんなに心強いことはありません。
それが積み重なっていくことで商品も看板も名刺も全部トータルで「笹岡×平原」のイメージが出来上がっていって、その先に笹岡鋏製作所のブランドが出来上がって行けばいいなあ、出来上がって行くんじゃないかなあ、と思ってます。

いいことばっかり言いましたが、ホントにいいことばっかりでした。
チャレンジして良かったです。。
最後にこの事業のきっかけを作ってくれた四国経済産業局さんにも本当に感謝しています。

以上です。
ありがとうございました 。

うん、どんどんやればいい。

「ここは立地がいいですね。」

ある業者さんが来てお話ししている時に、別のお客さんがふらっと来て
「ここは包丁あるー?」
あ、初めてのお客さん。
「ありますよー。」
「おー、じゃあこれちょうだい。」
「ありがとうございます。」

のやり取りを見て業者さんに言われた一言。
「ここは立地がいいですね。」

ちょっと引っかったので書いてます。
立地はいい。ある程度大きな道に面していて交通量も多いしお店の前には何台も車が置ける天然の駐車場もある。高知市内からも近い。

でも、お客さんに知ってもらって来てもらって買ってもらうまでたどり着くには立地だけじゃいかんやん。それ以外の努力や工夫が絶対必要で、だからそんなことばっかりやってきました。

それを見ずに今包丁が売れたのは「立地のおかげ」ってされたことにちょっとカチン。「もし工場がここになかったとしてもしっかり勝負してます。」って言いたくなりました。そんなこと言っても「恵まれちゅうき言えるがよ。」って思われて終わりやろうけど。

たしかに自分でも思います。「親父さん、45年前にここに工場建ててくれてありがとう。」
結局言われる人によって受け止める印象が違うがやろうなぁ、と思いました。同業者でも違う業種の人でもきちんと頑張ってる人に言われたら「そうやろ!俺も恵まれちゅうと思う!」で終わったはずや。

そんな小さなイライラを書きながら今年初めてのブログなので今年の目標書いときます。
①仕事量を減らす
②土曜日に同級生の前で発表した今の目標を実現する

②をやるために①を達成する必要がある。
やっぱり仕事帰りに本屋さんに寄って立ち読みする時間もないくらい働きよったらいかんがよ。ブログ書く時間も取れんほど洗面器に顔浸けっぱなしで働く感じ。したいこと出来んし、したいことが生まれて来んなる。隙間が必要。

そして②、また言っちゃいました。
高校の同級生との飲み会でみんなが目標や今したいことを話す流れの中で2、3年前からなんとなく考えていた目標を口に出す。カッコつける。
5人の前で言っちゃったのでまたやらざるを得んなりました。

ここで言うのはちょっと恥ずかしいので実現出来たら発表します。

でもねぇ、44歳同級生、みんないろいろ考えゆうがよね。個人事業主、公務員、会社員、お母さん、それぞれ違った立場や仕事を持っていて目標も仕事のこと自分のキャリアのことプライベートのこと、いろいろやけど。集まったみんながしっかり考えていてそこに向かってしっかり進んでいて、うれしくなりました。

負けないように進みたいと思います。

仕事頑張ってます。全然進まんけど。

この度、鍛冶屋志望の若者を研修生として受け入れました。前にちょこっとだけ書いたけどこの時東京からやって来た22歳。

うちに面接に来た時の写真です。

それから伝統工芸の後継者育成の補助金を申請したり土佐刃物の組合の理事会に計られたり役場の面接を通過したりして、無事10月から働いてもらってます。

2ヶ月と少し、真面目にやってくれてます。

「どう?あの子は鍛冶屋に向いちゅう?」っていろんな人に聞かれるけれど、適正なんてわかりません。

自分だってものづくりに興味があった訳じゃなし、自分を器用だと思ったこともない。それでも自分なりの方法で18年やって来ました。

どんな仕事でも大事なのは「やめない」じゃないかなぁ。
「続けること」「毎日工場に出てくること」
それが出来たら鍛冶屋にはなれる。
プロ野球選手じゃないがやき。センスや適正の必要な仕事じゃない。

その先、もっと良いものを作るためには、もっと効率良くスピードを上げるにはとか、もっと売れるようにするには、とかは考えるべきやしある程度センスも必要かもしれんけど。

まぁ、一人前になるかどうかは本人次第なのでどうにも出来ない。
その点、東京から何のつてもない友達の1人もいないいの町へ移住して1人でアパート暮らししてまで鍛冶屋になろうと飛び込んで来たのだからやる気はある。

受け入れるこちらとしてはそのやる気をしぼませないような努力や心配りをせんとね。こっちも2年間の研修期間の先は戦力として考えちゅうがやき。雇用を生もうと思って受け入れてます。

どっかで見たけれど
「あんなに熱意を持って◯◯やりたい!って来たのに辞める時はあっさりしたもんやった。最近の若者は…。」なんてつぶやきはしたくない。これ完全に受け入れる側の問題やと思ってしまいました。

そこまで熱い気持ちと夢を持って飛び込んで来た若者の気持ちを冷めさせたのは親方やったりその会社やったり業界やったりの責任が大きいはず。

もちろん下積みみたいな時間はあって思い描いたのと違うところもいっぱいあると思うけど。
未来への希望を消し去ってしまうのはきっと仕事そのものではなくて、受け入れる側の体質とか環境の整え方とか仕事のさせ方責任の与え方みたいなとこが大きいんじゃないかなぁ。
そこの資質を問われる。すごく感じます。

なんて、人を使ったことのない43歳がえらそうに言いました。

遠い昔、僕も言われた。
「向いてないと思ったらすぐ辞めろよ。」.
向き不向きを心配した親戚からの言葉やったがやけど、25歳まで自由に好き勝手生きてきてその挙句に親父の仕事に入るのに辞める訳ないじゃんか!って思いました。それだけのことで今に至る。

その中で自分なりのおもしろさを見つければいい。

数ヶ月後に「辞めて帰ってしまいました。」って書くかもしれませんが、その時は「今時の…」なんて言わずにしっかり自分を反省したいと思ってます。
そういう覚悟で受け入れてます。

東京から移住してきた鍛冶屋志望の22歳とそれを受け入れて一緒に働くことに決めたはさみ屋。

乞うご期待!です。

今日ご来店の作業着姿の植木屋さんに
「休まんがですね。」って言われて
「はい、休まずやってます!」
「人のこと言えんけど。」
「あー、休まんがですか?」
「天気えい時にやっちょかんとねぇ。いつ降るか、いつ台風が生まれるかわからんき。」
たしかに。お天気に左右されるお仕事は大変や。

日曜日は予告通り『神楽と鮎と酒に酔う』に出店。

まっちゃん(いの町の農家さん)のお母さんが包丁を、栄枝くん(いの町の工務店さん)のお父さんが包丁と植木鋏を買ってくれました。全て顔見知りの売り上げ。もうちょっと酔っ払った勢いで売れるかと期待したけど。
顔見知りに選んでもらえる幸せを感じて良しとしました。もちろん未来に繋がるPRはしたし、日がくれてからの販売も良い経験でした。

昨日の月曜日の敬老の日は県外客さまご来店。三重県津市からのご家族連れでした。ご主人と奥さまと娘さん。

「包丁見せてください。」
「はい、普通に使う万能包丁ならこちらです。」
「いや、こっちのストライプのやつ。」

道の駅のくらうどさんで見て来てくれたようで、「TOSA no DAICHI 」あっさりお買い上げ。

「仁淀川で遊んで高知アイスでアイスを食べてくらうどでお風呂に入って、そこで見つけて来てみました。」

おー、いの町満喫。
その満喫コースにはさみ屋が組み込まれた幸せ。
仁淀川に感謝、くらうどさんに感謝です。

こんな感じではさみ屋にも波及しているシルバーウィーク効果。

9月のイベント出店も終わり、大忙しの月末がやって来てます。
こいつ↓が襲って来てます。

ふるさと納税、イベントに出店しゆう場合じゃないおそろしさです。今年度の受注はすでにストップしましたが、9月末までに発送の約束分をやっつけんといかんので、明日からも頑張ります。

ちょっと忙しく働いてますよアピールのためにブログ書くのをちょっと先延ばしにしてたらひと月経ってました。

なので少し前のことになりますが、はさみ屋の包丁の柄をデザインしてくれたデザイナーさんが香川のビジネス情報紙(ビジネス香川)にインタビューを掲載されてうちの包丁の写真もばっちり載っけてもらいました。
記事のweb版はこちら↓
http://www.bk-web.jp/2015/0702/next.php

この出会いは本当に大きな大きな出会いになりました。
思わぬ所から提案されて、なんとなく取り組んでなんとなく販売し始めたかわいい包丁が販売開始から丸2年間で約100丁の売上実績。

(たまたまですけど今日は朝に夕方にふたつ売れました。左から2番目と3番目。また作らんといかん。)
2年で100丁をヒットというのかはそれぞれ考え方があると思われますが、従来の品と材質も切れ味も変わらない包丁の柄とパッケージがかわいくなって、値段が倍以上になってどれだけ売れるがやろ?選んでもらえるがやろか?って思っていた僕にとっては衝撃の大ヒットです。

さらにそこから雑誌やテレビや新聞に取り上げてもらってはさみ屋の認知度は格段に上がったはずやし。チャレンジして良かった。
まぁ、僕にとってはチャレンジでもなんでもなく、四国経済産業局さんが作ってくれたデザイナーさんとの出会いのレールに乗っかってここまで連れてきてもらった感覚ながやけど。

素敵な包丁が完成したあとも、店舗改装の際には看板のデザインをお願いしたり、新しい名刺をデザインしてもらったり、包丁の取り扱い説明書を作ってもらったり。たくさん力になってもらってるデザイナーさんです。

本当はこれが一番大きなメリットなんだなぁ、ってことに最近気付きました。
商品も看板も名刺も、デザインが必要な時に気軽に相談出来るデザイナーさんがいる。そのデザイナーさんはうちの仕事の内容や目指す方向をしっかり理解してくれている。こんなに心強いことはない。
その結果、商品だけじゃなくてお店や名刺やいろんな場面でトータルのイメージで発信出来る。
あんまり意識することなく動いていたのだけれど、ある人にこの点を「イメージが統一されていていいですよね。」って誉められてあらためて認識しました。
1人のデザイナーさんにいろいろお願いすることで、全部のイメージが繋がっていって、それを笹岡鋏製作所のブランドとして育てていく感じ。とってもいい感じ。

そもそも「伝統工芸×デザイン」てのはすごく相性いいはず。もともと伝統の技があるわけで。そこをどう見せていくか。もっともっとデザイン取り入れて発信すればいいのに。やる人なかなかおらんろうけど。可能性はいっぱいあると思います。

かかりつけのデザイナーさんを見つけたはさみ屋は、そのありがたみを実感していてその力を目一杯利用して、お客さんにとってのかかりつけの刃物屋さんを目指します。

「俺の行きつけの刃物屋へ連れてっちゃろうか?」
こうなったら素敵やね。

刃物のことならここに相談。
そう思ってくれてるお客様、だんだん増えてくれてる気もしてます。

出会うまで、知ってもらうまではデザインの力やったりテレビや新聞の効果があったりイベント出店の成果やったり。
その先、「行きつけ・かかりつけ」になるかどうかは品質や技や腕次第。

頑張ります。

「安売り以外はなんでもやっていい。むしろ全部やるべし。」
そんな風に自分に言い聞かせてあっさり納得してしまうので、やることがまた少しずつ増えております。

昨日、若い女の子から釣りをするお父さんへ「父の日のプレゼント」にって出刃包丁をご注文いただいて頑張って仕上げてひと息ついた閉店間際の夕方。

またまた若いカップルさんが「ちょっと見せてもらっていいですか?」ってご来店。
話を聞くとお父さんへの誕生日プレゼント。
「農業やってる父なので何かいいプレゼントないかなぁ、と思って。」

こんな感じでご来店のお客様は初めてでした。もう完全に雑貨屋さん感覚。

「鋏が欲しい・包丁をプレゼントしよう」ではなく「お父さんのタイプからしてここに行けば何かあるかも。」って感じ。

新たな客層、新しい購買動機の掘り起こしに成功です。大きな成果。改装のおかげかTVで見てくれたのかイベント出店先で見つけてくれたのかは不明です。そして成功事例はまだ一件やけどね。
それでも一歩進んだ感じはしました。

そんなプレゼント需要やふるさと納税など、はさみ屋を直接知らない方にうちの品が届く場面が増えてきたので、ひとつ新しいこと始めました。

『包丁の取り扱い説明書』



デザイン包丁に入れていた説明書を、通常の包丁にも付けれるようにデザイナーさんにアレンジしてもらって出来上がりました。素敵に完成。

少し前にふるさと納税のお客様から「錆びたけど直りますか?」って連絡もらったことがあります。
「磨きます!研ぎます!お送りください!」って返事して対応は出来たけれど、こういう説明書を一回読んでから使ってもらえればまた違ってくるはず。

・食洗機には入れないで
・濡れたままにすると錆びます!
・使うと切れ味は落ちるので研ぎ直しも必要です
・送ってもらえれば研ぎ直しします!
・何か不具合あれば対応します、使った後でも大丈夫なのでご遠慮なく連絡ください

ざっくりこんなことを書いてます。

直接お店へ来てくれたり、イベント出店先で顔を合わせて買ってくれたりのお客様にはお伝えしながら売ってきたことです。

今後はそれ以外のお客様にも届くように。
ネット上で見つけてくれた方や、アンテナショップでご購入の方へ。

いい作戦です。自画自賛。
(鋏を買ってくれるのはほとんどプロの植木屋さんなので、今回の説明書は包丁に限定してます。うちをわざわざ探して買ってくれる職人さんはほとんどお手入れもきちんとされてます。)

印刷したり切ったり折ったりする作業がまた増えました。嫌いじゃないのでやります。ガンガン入れて発送します。

ま、品が出来上がってないのでまだ出せんがやけど。
注文ザクザク溜まってます。

「まだ溜める時期じゃないっすよ!」by いの町観光協会

うん、作ろう!

あらためて、「伝統工芸・手仕事・職人」光当たってますよー。今ですよー。来年からとか3年後とか言ってたら置いてかれる。そもそも今動けてなかったら3年経っても動けんと思うけど。今です。
3年前からやるのは今ながやけどね。
5年前10年前から常に今です。
やるべき。やりましょう。

1日の間に続けてうれしいことがあったので書きます。

ケース①
前回包丁を買っていただいた方がご来店。
「この前買った包丁良く切れた!そこで相談やけどこれ直る?」
で、包丁4丁研ぎ直しをお持ち込み。
直します!

お買い上げ→研ぎ直しへ
通常は逆で、研ぎ→お買い上げへ、ってのを目指してしっかりきっちり研ぎの仕事をしております。研ぎ直しから出会うお客様が圧倒的に多いので。

ケース②
研ぎ直しをお預けに来てくれた方に万能包丁のご注文をいただく。最も一般的な品ですが慢性的な品薄状態が続いていて今はほとんど受注生産。「姉の分も作っちょいて。」って2丁ご注文。
完成してお渡ししてひと月程でまたご来店。
「この前はありがとうございました!姉もよく切れるって喜んでくれて。今回は姉から研ぎ直しを預かって来ました。」

もう本当にこちらの方がありがとう、です。

お買い上げ→研ぎ直しへ。
同じパターンやけどさらにおまけ。

「研ぎ直ししてもらったのがまた使える様になったので自分に買った分は嫁にあげました。そしたら嫁が『今まで使いよった包丁は何やったがやろ。』って切れ味にびっくりしてました。」

お姉さんやお嫁さんに広げていただく。
ありがたいことです。

これが①と②の方が持ち込まれた包丁。
研ぎ直し出来ました。柄の取り替えも4つ。

ケース③
ホームページから刈込鋏を何度かご注文いただいた東京の植木屋さんからお電話が。
「包丁の注文していいですか?」
奥様がお魚を捌くのに小さめの出刃包丁をご注文いただきました。

鋏→包丁へ。
このパターンはめずらしい。

鋏を買って使ってくれた県外の植木屋さんからうちの仕事への信頼を得られた様な感じがしてとってもうれしかったです。
これから作ります。

これがはさみ屋の販促。
ひとつの仕事がなんとか次に繋がるように。しっかり仕事をするだけながやけどね。

新規顧客獲得も絶対大事やけど、リピーターさんを作ることってもっと大事ながやと思います。

せっかくはさみ屋を見つけてくれたお客さんです。売りっぱなしじゃもったいない。
その点、「作る」と「直す」が出来ることがとっても有効。これがうちの強み。

「研ぎ」が「売上」を作ったり、
「売上」が「研ぎ」を作ってくれたり、
「売上」が「次の売上」を生み出したり。

販促ツールは自分の仕事。
なんて恵まれた職業ながやろ。

やってきたことは何年も前からずっと同じながやけど、ちょっとはっきり現れ始めた気がします。そんなことを実感することが増えました。実感することがモチベーションになります。

明日からも頑張ります。

店舗改装。
これについて書いてなかったので書きます。
改装終わってお店の中がきちんと片付いたら書こう!と思ってたけれど一向に片付く日が来ないので片付けるのは先延ばしにして書きます。

改装工事が終わったのはもう半年前。
始まりは1年前の補助金申請から。
この時→『現状分析と今後のプラン

この申請がめでたく採択されて着手。
看板デザインはドットとストライプのデザイナーさんに、看板製作と店舗改装はいの町商工会青年部の仲間に発注。

before

なつかしい。

after

素敵になりました。

結果として100万ちょっとの事業になりましたが、補助金が50万円。
補助金の話が無ければやってない。
ありがたいことです。
この改装の事案が出てくる前にはさみ屋を理解してくれているデザイナーさんと出会っていたこともすごく良いタイミング。

そして、大切なのはそんな補助金の話が耳に入る場所にいられたこと。アンテナ張って探してれば見つかるだろうけど、そうじゃなくても教えてくれる人がいた。そういう環境があった。これラッキー。いの町商工会の会長さんと指導員さんのおかげです。

申請書作りに半日、実行報告書作るのに半日、苦手なPCの前に座って文章作れば50万円もらえるがやきやらんとね。

だから職人チームのみんなに伝えました。
昨年申請直後にもみんなに話したけれど、今年も同じ小規模事業者持続化補助金が出たのでもう一回伝えました。

「こんな使いやすい補助金があるよ。申請書を作るだけでも自分の仕事を見つめ直すいい機会になるし。出来る限りチャレンジしようぜ。」

はさみ屋今年も再び申請。
めでたく2年連続採択をゲット。
今度はショーケースを作ります。

今まで刃物が売られていたのとは違う場所に刃物を並べてもらうためのショーケース。
ホームセンターや金物屋さんではない従来とは違う場所(お店)で売ってもらう。これにはすごく可能性を感じてます。楽しみしかないっす。

そして職人チームの仲間も申請した5人全員が見事採択を勝ち取る。みんなのやる気と商工会さんのバックアップ。すごくいい流れが出来ゆう感じ。

職人チーム、チャレンジしてます。
みんな動いてます。
もちろんこのいただいた補助金をどう売上やお客様獲得に繋げるか、それが一番大事なことやけどね。

きっと結果出ます。

ご期待ください。

年度末が過ぎ新年度が始まっても相変わらずいろんなことに追われる日々。
もう一踏ん張りで大きな一区切りなのだけれどなかなかそこに辿り着けません。頑張れ、俺。

先日お電話にて植木鋏のご注文をいただきました。
その時に研ぎ直しについて質問されました。

「今使ってる鋏(他社製品)も研いでもらえますか?」
「やりますよー。」

で、めでたく研ぎ直しのご依頼。

「一週間くらいあれば出来ると思います。」って言ってたのに遅れて10日程経ってからの発送になったので「予定より遅くなって申し訳ありません。」ってお手紙を入れてお返ししたらこんなお手紙が届きました。

下関より。

やさしい。
うれしい。

仕事を依頼してもらって、代金いただいて、その上気遣ってもらって、お礼を伝えてもらえる。

こんないい仕事ないなぁ。

新品のご注文もいただいてますので、頑張ります。

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