夏バテはしてません。
もちろん秋バテも。
先週、突然、高知県産業振興センターの方が工場にやって来ました。
ある県内の刃物屋さんと共同で「包丁にチタンをコーティングする技術」を開発中だそうでそれを鋏に応用出来ないか、という話。
チタンを吹き付けることで刃の耐摩耗性がアップする。つまり刃が硬くなって切れ味が長く保つ、らしい。
面白そうじゃんか、と思いながら話を聞きました。
「砥いだらどうなります?」
「砥いだら剥がれます。」
一回砥いだら終わりです。ダメ。使えない。
打ち刃物はきちんと作ればそう簡単には使えんようにはならん。もちろん砥ぎ直しは必要です。
チタン使って一つ500円とか1000円高い品にするよりその500円で一回砥ぎ直しに出してくれればいい、と僕は思う。一回砥ぎ直しさせていただければ新品の切れ味です。
結局、「砥ぎ直しながら使ってもらう」っていう土佐の刃物の大事なところを無視した新技術、新商品や。
(チタンコーティングは別に新技術でもないか。よその刃物産地ではきっとやり尽くされた技術でしょう。そんな包丁見たことあるね。)
少し性質の劣る材料を使ったものや叩いて作るという部分を省略した刃物には有効に違いない。例えば安いステンレスの包丁とか。つまり所詮使い捨ての発想だなぁ、と思いました。
(ステンレスの名誉のために言っときますけどステンレスでもきちんと切れる、長持ちする刃物はたくさんあります。どんどん良い材料も開発されてます。しっかり作ってるものも確かにあります。でもそういう品はやっぱり高い。それに比べたら土佐打刃物のコストパフォーマンスはなかなかのもんだと思います。錆びるけどね…。)
そんなこんなでチタンコーティングされた鋏は出来上がりそうにないのですが、県の産業振興センターさんなるものが土佐打刃物のことを気に掛けてくれてることは喜ばしい。
もう少し現場の話を聞いてくれる機会とかあればいいのになぁ、と思いました。
何かの折にはまたよろしくお願いします。
今、ふと思ったがやけど、砥ぎ直しする度にチタンコーティングできたらどうやろね。砥ぎ賃据え置きで。ここ重要。
んー、刃先までコーティングしたら切れ味が心配になるきやっぱダメか…。
.