鍛冶屋日記

カテゴリー: 仕事

一昨日、あるセミナーに行ってきました。いの町商工会主催。タイトルは「集客のアイデア」みたいな感じやった気がします。佐賀県の広告デザイン会社の社長さんの講演でした。詳しくは部長ブログで。

商売のポイントから、チラシ作成のテクニック、お客様との関係作り、新しいアイデアのひねり出し方、それから最後に商売する上での心構え。

習ってきました。

テクニック的なものは非常に勉強になりました。活かしていきたいと思います。

心構えの話は常々考えていることでしたが、先生と呼ばれる人の言葉になると、自分の考えがなんだか裏付けてもらった気がして気分良かったです。

一番残ったこと。

「お客様の期待に応えるとお客様は満足。期待外れだと不満。お客様をだますと怒りになる。
反対に期待以上だと感動してもらえる。それを越えると感激になる。その上をいくと感謝にかわる。」

怒り<不満<満足=期待<感動<感激<感謝

だそうです。

「けれど満足を目指しても満足すら得られませんよ。それ以上の感動、感激を目指して仕事してやっと満足にたどり着けます。お客様は厳しいですよ。」

うすうす感じていることでもわかりやすく教えてもらうとやる気に変わるね。

よい勉強になりました。

その後の懇親会ですかさず先生に近づいて自作手書きのはさみ屋リーフレットを見せました。

「こんなん作ってるんですけど、どうっすか?」

「いいと思いますよ。職人って堅いイメージですけどやわらかく書けてて良いです。こうゆうのをみんなに広めてあげてください。」やって。

まるで「お手本になれるよ」って感じに誉められてホッとしました。が、それで終わり。

「ここをこうすればもっと良くなる。」って鋭いご意見を無料で手に入れたかったがやけどなぁ。

求めたお言葉もらえず。
作戦失敗…。

まぁ、このリーフレットも配り始めてそろそろ一年になるし、今回聞いた話を活かしてリニューアルも考えていきたいと思います。

乞うご期待。

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家のパソコンがぶっ壊れたので仕事場(実家)のパソコンで年賀状を作らなければならなくなりました。

場所が移っただけでなく作る人も変わります。今までは全部奥さんにお願い、おまかせしてたので。

午前中は火を焚いて、この寒い中汗かいて鋏作りましたが、いよいよ切羽詰まってきたのでお昼からちょっとやってみるかってことで取り掛かってみました。

ダウンロードやらインストールやらたまらなくキライです。うまくいかなくて何度となく投げ出しそうになりましたがなんとかうさぎのレイアウトも決まり、宛先リストも全て打ち込むことができました。

やれば出来る子。

13時間かかりました。

明日印刷します。

うまくいきますように…。

仕事がどんどん増えるにゃあ…。
りんくんが借りてきてくれた「ONE PEACE」も読まんといかんのに。

事務員さん雇いたい。

でも、そしたら俺の給料無くなるね。

そう考えたら夜なべした甲斐もあるじゃんか。

うん、全部やりますよ、全部。

パソコンも駆使するし、漫画も読むし、麻雀もする。
そしたら2010年も終わる。

めでたし、めでたし。

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暇な日なんて来ないんだなぁと思います。贅沢なこと言ってます。
何時から会があるとか時間区切られないといつまでも働けるようになりました。やらんといかんこと、やりたいことだらけです。

「そんなに手間ばっかりかけてどうすらぁ。名人になっても飯食えんぞ。」

だんだん身に染みてきました。
やりたいようにやると疲れます。時間足りんし。

負けないように少し前にある本で見つけた言葉達を書いてみます。
「こだわり持って作ってます。食べてみて下さい。」って農産物や食品ばっかり売ってるカタログ通販本のキャッチコピー達です。
この言葉達を全て鵜呑みにできないくらいは世の中をわかってきましたが、参考にはしたいと思いました。

「あたりまえであること」

「まっとうであること」

「ごまかしがないこと」

「品質に応じた価格」

「一概にこれがおいしいとは決められない。だから自分が自信の持てる、納得のいく米づくりをした上で、食べた方がおいしいと喜ぶ声を聞きたい。」

「方法論だけではない、気持ちの部分が、やさしい味をつくりあげていく。」

「必要なことには手間ひまを惜しまず、余計なことはしない。」

良いと思います。見習いたいと思います。でも、ほんなら買うかっちゅうたら買わんがよねえ。高いし。

刃物もいっしょ。
そんな中で買ってくれた人に納得してもらえるかどうか、です。

こんな風に気持ちを込めたやり方で仕事して、しっかり稼いで、こんな食べ物を買って食えるようにならんといかんわけです。

結果出さんと正解じゃないわけです。

違うやり方で結果出して来た人を何にも成し遂げてないもんが「やり方変えよう」って説得する難しさを痛感しております。

説得より納得だそうです。納得させるには結果。

だから、ひとりでもやらんとね。

疲れるけどね。

明日はりんくんのサッカー部のクリスマス会です。親子対決です。やっつけてきます。むやみに走ってきます。

筋が切れたり肉が離れたりしませんように…。

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うちのじゃなくてもアフターサービス。

この前お店に来てくれたお客様の話。

50代くらいの女性のお客様に包丁の砥ぎ直しを8丁お預かりして取りに来られた時に少しお話しました。
うちに頼んでくれるのは2回目でした。

「包丁大好きやき今まで砥ぎもずっと自分でしよったけどこの前砥いでもろうたらこじゃんとよう切れたきもう自分で砥ぐのやめた。」

良かったのかどうかはわかりませんが、うれしい。

「前によそに砥ぎに出したら機械でちゃーっとやって、はい、終わり。がっかりした。」

包丁大切にしてて自分できちんと砥いでる人には物足りないことでしょう。

「だからあなたに頼む時に『どうやって仕上げる?』って確認したろ?」

はい、うちは包丁は手砥ぎで仕上げます。

「本当に包丁が好きでこの前も包丁買ったけどあなたに砥いでもらった方がしばらく使った後なのに新品よりずっと切れる。」

次に買う時は是非当店でお願いします。

こういう仕事の仕方してて良かったなぁ、と思う瞬間です。
ちょっと浅いのがバレますけど、このお客様が帰られた後に心でガッツポーズです。

こんなふうに「自分で砥ぐのやめたきお願いね。」ってお客様もいれば、「せっかく手打ちの包丁買ったき。」って砥石も買ってくれてご自分での砥ぎ直しに挑戦される方もおられます。

どちらも道具を大切に思ってくれてる人。

そういうお客様とどれだけ出会えるか。

出会えた時にどれだけ応えられるか。

それからそう思ってもらえる方をどうやって増やしていくか。

そのために『砥ぎ直し』はとってもとっても大切だと思っています。売れたら終わりじゃいかんと思います。

砥ぎ直しはしない、よそ製の刃物は砥がない、なんてとこ多いし、砥ぎに持って行ったら「こりゃあいかんぜよ。新しいの買いや。」って捨てられた、なんて話も聞いたことがあります。

砥ぎながら使えばずっと使えるのが土佐の刃物のセールスポイントながやないがかえ。

高知では機械でしか砥がない鍛冶屋さんや砥ぎ屋さんが主流やし、うちも十数年前まではそうやって仕上げてました。

刃物まつりやZAKURIの砥ぎ直しイベントでさえ機械で砥いで終わりです。それで満足してくれるお客様も確かにいます。

けどねぇ…。

「きちんと砥ぎ代もらって手砥ぎで仕上げようや。」って提案しても受け入れてもらえませんでした。刃物まつりは客寄せのために無料砥ぎやし、ZAKURIも1丁200円。

「間尺に合わん。」やって。

もったいない…。

長く長く使えるいい刃物作れる腕持った鍛冶屋さんいっぱいおるのになぁ。

そのおかげで砥ぎ直しはじゃんじゃんうちに集まって来てますけど。

熱くなってしまいました。
長くなってしまいました。

お客さんにこんなこと言ってもらってうれしかったです、って書こうと思っただけやったのにね。

まぁ、これからもずっと砥ぎますきー。

どこの品でも錆びちょっても欠けちょっても柄が折れちょっても治してみますので、じゃんじゃん持って来てつかーさい。

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昨日はごはんつぶを一粒たりとも食べてません。
唐揚げとコロッケしか食べてない。日付が変わってすぐの真夜中にナンバンチョイス(生姜焼き)と天ぷらうどんをがっついて気持ち悪いまま寝ましたけど…。

そんな昨日は土佐和紙工芸村くらうどで「まちかど市オープン2周年記念」のイベントでした。

紅葉の時期なのでドライブがてらのお客さんや県外からのお客さんに包丁を買っていただいたり、くらうどの社長さんに包丁砥ぎを頼まれたり、それなりに忙しかったです。

親戚のおじちゃん、おばちゃんに偶然出会って「がんばりゆうね。」ってコーヒー差し入れてもらったり、高校の同級生が車から赤ちゃん連れて降りて来たり。

みんなけっこうお出かけするがやね。

そんな勤労感謝の日でした。

次は金曜日(26日)にサニーマートいの店にて店頭販売、じゃなくて店内販売です。
是非お越し下さい、とは言いません。
地元の日常のお買い物のお客様に包丁砥ぎ直しできますよってPRして来ます。

そんな感じで工場の仕事がたまりつつあります…。

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ブログでFA宣言を知らされたかかりつけの美容師さんから移籍先のお知らせが届きました。明日オープンだそうです。

「りぐる りぐれば りぐれった」

日曜日は吾北のもみじまつりに出店してきました。
副町長にお買い上げいただいたり、町長に「売れゆうかね?」って声かけてもらったり。

ここへ売りに来るようになってもう6~7年ですが一年ぶりに山を登ってあらためて思うこと。

「山の人は刃物を知っちゅう。」

買う買わないは別にして視点が町のお客さんとちがいます。値段のことは言わない。装飾は気にしない。大事なのは使えるかどうか。いるものはいる、みたいな感じ。

表面を磨きましたとか、付加価値のために柄にカシューを塗りました、とかあんまり気にしてません。

自分の使い道にあった大きさか、自分の使用に耐える切れ味か、耐久性か、そんなところしか見てない人が多い。

だから売れなくてもお客さんとの会話の中で教わることがたくさんあります。今年はぼちぼち売れましたけど。

それからゲストもすごい。去年はケロロ軍曹。今年はこの方。

りんくんを見習って納豆を食べてみたら、意外にいけました。

今日は久しぶりにアンテナショップ『てんこす』に寄って来ました。

自前でショーケースを構えて3ヶ月。それまでお客様の目に触れることさえなかったナイフや鉈が売れた知らせをもらったり、初めて話す鍛冶屋さんから「あそこに並んでますよね。」って言われて喜んだり、「出して良かったー。」って思うことが増えてきた今日この頃。
そんな上機嫌な感じで商品減ってないかなーって見に行ったらすごい光景が目に入りました。

うちが莫大な資本を投下して作って持ち込んだガラスのショーケースの上にずらずらっと『龍馬包丁』が…。もちろんうちの商品ではありません。うちの商品じゃないものでケースの中の一段目のうちの品はほとんど隠されてます。

そこ、棚ちゃうき…。
ちゃんと上から覗いて見てもらえるように中の棚の高さも設定しちゅうき…。

こりゃあ言わないかんにゃあ、これ言わずに帰ったら「なんで言わへんの!?俺なら全部持って帰って取引やめるね。」って言う仲良し社長さんのセリフが耳に浮かんできたので『てんこす』の社長さんを呼んで言いました。

その驚愕の光景を指差しながら、冷静にひとことだけ

「これはないっしょ…。」

そしたらすぐに理解してくれたようで、なんの淀みもなくささっと龍馬包丁たちを片付けながら
「あー、すみません。商品が増えてあっち置いたりこっち置いたりしてるんで、すみません。」って。

本当に、全然冷静やったのに、ここで心の中のどっかが揺れました。

扱う商品が増えて置くとこ作るの大変なのもわかる。(だからうちはケースを持ち込んだがやけど…。)売上があがるように飾りながら種々雑多な商品たちを陳列するのはきっと大変でしょう。片付けてくれて謝ってくれて問題もあっさり解決しました。

でもなんかワナワナ感が芽生えました。

「よろしくお願いします。」ってあっさり帰って来ましたが。

後に考えると、あれほどあっさり片付けれるってことは、きっと、「ここに置くとまずいにゃあ…」ってわかっていながらそうしちょったってことで、なんかそれがイヤな気分の原因や、と思いました。

指摘した時に、「ん?何がいかんが?」って反応ならこんな気分にならんかった気がします。
(もちろん論理的に説明するだけやし、その準備も出来ちょったがやけど。)

わかっちょってしなやー、ってことやね。

ワナワナ感を収めようとさっき耳に浮かんだセリフの主の社長さんに電話しました。こんなことされちょったー、って報告したら、予想通り「商品引き上げ、取引停止」のキーワードが出て来て

「それでもあんな場所にはさみ屋の商品が並ぶチャンスないっすもん。僕はやめませんよー。」
って言ったら

「じゃあ、次なんかあったら卸し値5%上げるって一方的に通告しなさい。」って。

さすがや…。

ナイスアドバイス…。

けど、出来るかにゃあ…。

がんばってみます。
次あったらね…。

.

昨日は取引先の問屋さんの新社長就任祝賀パーティーに出席。久しぶりのネクタイ、スーツ。

そこである鍛冶屋さんに出会いました。
だいたい業界のお祝いやパーティーに出てくる顔は決まってるので、同じテーブルにいる見たことない若い顔に「誰?」って思って見てました。
その方の隣に座って仲良そうにしゃべってる鎌鍛冶さんに紹介してもらって少し話をしました。

30代前半の鍛冶屋になって6年程。福岡県出身。
福岡で出会った奥様の実家が美良布の包丁鍛冶さんで、結婚して鍛冶屋になったそうです。先細りの土佐の刃物業界にとっては貴重な存在。

向こうははさみ屋の存在を知ってくれていたようで
「てんこす(アンテナショップ)に出してますよね。」
って言ってくれました。
おー、見てくれちゅう!うれしい。

それから、てんこすに並べてるナイフの仕上げについて質問してくれました。

「同業者が聞いていいのかとも思いますが、あれはどうやって作ってるんですか?」

なんちゃあ隠すことらぁないので説明させていただきました。自分もいろんな刃物屋さんに聞いて教わったことやし。
うちの品を見て「これどうやってやっちゅうがやろ。」(あ、福岡の人やきこうは呟かんか…)って疑問に思ってくれて、それを質問してくれる人が現れたことがなぜだかすごくうれしい。同業者の職人さんにはさみ屋の品に興味を持ってもらえたってことがうれしいがや。

真似してくれたらいいのに。
ずっと真似する方やったきね。

「一回うちの工場に遊びにきいやー。見せちゃおき。」
って言ってきました。

本当に来てくれたらうれしいろうにゃあ…。

でもまぁ、来んかったらこっちから行ってなんか教わってくることにします。

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少しタイミングを逃してしまいましたが、先週22日の高知新聞の『閑人調』ってコラムに土佐の包丁鍛冶さんについての話が載ってました。16面です。

先週の新聞探すの大変でしょうから、勝手に抜粋させていただきます。

『想い』
高知にはいい物がいっぱいある。物はもちろん、その作り手の想いもいい。

須崎市で土佐打刃物職人さんから聞いた言葉が忘れられない。
「どんな想いで刃物をつくってらっしゃるんですか。」と質問したところ、「買っていただいたお客さんに、おいしい料理をつくってもらいたいと思って…」。
正直びっくりした。切れ味のいい品とか、若いお客さんにも気に入ってもらえる物といった返事を予想していたから。
自分の刃物のことより以上に、それを使うお客さんの気持ちを考えてつくっているんだ。そんな商品は本当にいい物なんだろうなぁ。しみじみそう思った。

おらんく自慢の逸品とともに、高知の作り手たちの想いも多くの人に伝えたい。

こんな内容です。

その日の昼間にうちの奥さんからメールがきました。
「16面見た?」

「見たよ。」って返事したらこんなメールが。

「いい内容やったなぁ。と思った。お客様目線。大事やなぁと。」

ここでハッとするわけです。
奥さんにこう言われるってことは自分はそこまで行けてないがやろか…。「おいしい料理を…」レベルのお客様目線持てちゅうかにゃあ…。

言外に「こんな意識で仕事せないかんぜよ。見習うべし!」って言われた気がしました。

うん、そんな気がしました。

.

刃物まつり一日目終了しました。

お天気も良く(良過ぎ、暑かった!)一時駐車場が入れなくなるくらいお祭りへの人出も上々。売り上げもまずまず。

さとるコーナーにおいては、友達が会いに来てくれて、奥さんが「ちょっと小さめの包丁が欲しい。」って買ってくれたのと「牛刀ないかえ?」ってお客さんにこの日のために一昨日仕上げた牛刀を「ありますよー。」って出したら「こりゃあ切れそうや。」ってすんなり気に入って買ってくれました。これだけですけどおなかいっぱいでした。満足。そして感謝。

そんな一日目、立ちっぱなしで疲れたのでしっかりカロリーを摂取しました。そして9時には眠りに落ちました。

そしたら5時半に目が覚めました。もうちょいゆっくり寝てればいいのに…。

まぁ、もう一日、頑張ってきます。

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