鍛冶屋日記

カテゴリー: 仕事

土曜日の話。
僕はサニーアクシスへ箱を持って立ちに行ってたので会えてませんが、広島からお客様がいらしてくれました。以下は父から聞いた話です。

昨年12月にうちのホームページで刈込鋏を買ってくれて気に入っていただけたようで、お子様とアンパンマンミュージアムに遊びに来たついでにわざわざうちのお店まで来てくれたそうです。

そして植木鋏と鉈(ナタ)と包丁をお買い上げいただきました。

うれしい。

そのうえ、お土産までいただいてました。
ありがとうございます。

遠く高知まで遊びに来てくれて、うちの品を3つも買ってくれたうえにお土産まで。

こっちがお土産渡さんといかんくらい買ってくれちゅうのに…。
もうどっちがお客さんかわかりません。

お会いできなかったこと心から残念に思います。
この場をかりて、本当にありがとうございました。

ひとつ買ってもらえたお客様に気に入ってもらえたら、遠く広島からでも(ついでとは言え)追っかけて来てくれる。

目指す理想の形です。

そうじゃないとうちみたいな吹いたら飛びそうなちっちゃな鍛冶屋はこの先やっていけません。確実に。

これからも、たまたま買ってくれた方に、それから一回砥ぎ直しに出してもらった方に、追っかけて来てもらえるほどの仕事をしていかねば、とあらためて思いました。

それから、ナイス、アンパンマン。

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お天気もちました。
良い天気。

こちらは毎年お隣で出店の手作りお菓子屋さん。普段はこの車で移動販売だそうです。
ホームグラウンドは百石町の『空き地』やって。かなりのんびりな空気が流れてます。
クードクール』さんです。見かけたら寄ってみましょう。
ちょっとご紹介しといてから2日目のリポート。

小学校の同級生が偶然通りかかって買ってくれたり、商工会の青年部部長が以前買ってくれてたのを砥ぎ直しに持って来てくれたり、バニーアイズの名捕手が砥ぎ直しの仕事とともにうどんを差し入れてくれたり。いくつか来た包丁の砥ぎ直しをやってたら知り合いのおんちゃんが「おんしゃあ、ようがんばるのう。」ってチオビタ2本とコロッケを差し入れてくれたり。

全然暇することなく過ごせたし売上的にも前日土曜日の5倍。

試し切りコーナーにもいろんな人が寄って来てくれました。

前を通るたびに3回も4回もトマトを切るために寄り道してくれた小学校高学年の女の子3人組

「普段お料理する?」
「トマト切るのはあたしの仕事!」
「おー、えらいじゃん。お家の包丁と比べてどう?」
「切れる!」
「よし、帰ってお母さんに宣伝しちょってよー。」

言い出しにくいけど切ってみたいなぁ、って雰囲気を漂わせてた就学前であろうおとなしそうなの女の子

「切ってみる?」
「うん…。」
「やってみいや。気をつけろよー。」
神妙な顔で切ってくれました。
「どう?切れたろ?」
「うん!」
笑顔になりました。
「よし!大きくなったら買いに来てよー。」
「うん!!」
もっと笑顔になりました。

小さな小さな種まきです。

いつかきれいなおねえさんになって、すてきなおかあさんになって
「ひなまつりの時にトマト切らせてもろうたがですよー。」って買いに来てくれたらどうしよう。

泣くね。

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予告するのが抜かってましたが、今日は「かみのまち・いの・ひなまつり」に出店。

ぽかぽか陽気の中、包丁を砥いだり売ったりして来ました。

だいたいこんな感じです。

明日もあります。
雨っぽいなぁ…。

このボルト抜きます。

明日入院。その原因はこちら
さぁ、忙しくなるぞー。

先日、うちの鋏を使ってくれてる植木屋さんの鋏を手砥ぎで仕上げてみました。
包丁は手砥ぎで仕上げてますが鋏は今のところ機械による刃付けです。

この植木屋さんにはそんなこともバレていて

「ちょっと僕の鋏も手で砥いでみてくださいよー。」

そんなわけです。

手で砥ぐと刃が通常より薄く仕上がるので切れ味は上がるにちがいない。けんどトマト切るわけじゃないし…。
それより木を切るための強度とか耐久性の方に心配がありました。弱くなるんじゃないろうか。

そんなことも伝えた上でお渡し。

翌日、電話がありました。

「いいっすよ!切れ味2割増しっす。」

その後、数日使ってもらってからの感想も

「問題ないっす。2割増しの切れ味がしっかり持続してます。」って。

うん、そんなにちがうのか。わかる人にはわかるがや。

今後は鋏もそうやって仕上げることも考えていかんといかんね。いいヒントをいただきました。
けど、今すぐ全部変えることはできません。すみません。時間的な問題です。余裕がないっす。
今は普段の仕事と包丁砥ぐので手いっぱいです。ごめんなさい。もちろん求められたらやります。要求して下さい。

今回そんな風に「もっとえいもん作ってやー。」って要求してくれた植木屋さんがブログで誉めてくれてます。

はさみ屋が誉められてるの読みたい方はこちらをご覧ください。

まぁ、半分「サクラ」です。
ほとんど「はさみ屋の回し者」です。

だってこの植木屋のにーちゃん、出会って一年半足らずでもうすでに『麻雀仲間』ですから。

いや、『敵』か…。

.

昨日の日曜日は昨年9月以来の『おかみさん市』、帯屋町での売り出しでした。
毎月第一日曜日に行く帯屋町はいままで基本的に父の仕事でしたが今月から乗っ取らせていただきました。

乗っ取り記念にまな板を持って行きました。昨年春から頭にあった企画で秋にはまな板も買って準備してましたがようやく実現、実行。

『試し切りコーナー設置大作戦』です。

朝行って商品並べて砥石を構えてから砥ぎかけの包丁を砥いで仕上げました。

それからまな板の上にトマトを出して柄もついてない砥ぎたての包丁で切ってみました。

「よし!」

(切る対象としては、トマトは水分が多い、ナスは色が悪くなる、キュウリでえいやん、とかいろんな議論がありましたが、切れ味実感にはやっぱりこれや!ってことでトマトにしました。一種類じゃなくていろいろ構えて行ってもえいかもね。人参、玉葱、ジャガイモ持ってって晩飯はカレー作ります、みたいなのもありや。)

そんなこんなで、さぁ、誰でも切って下さい!って置いちょったけど誰も切ってくれません。

一組の若いご夫婦が包丁を買ってくれそうだったので
「切れ味試してみてください。」ってお勧めしたら切ってくれました。
奥様が小さな声で「うはっ!」って言ってくれました。買ってもらえんでもそれだけで満足です。無事お買い上げいただきましたけど。

包丁買うつもりがない方の財布の口を開かせるほどの効果はないかもしれませんが、「欲しいと思うちょったけどこの兄ちゃんの包丁に決めてえいがやろうか?」とか「ちょっといつも買うのより値段はるけど本当に切れるが?」ってお客様への一押しにはなるんじゃないかと思います。

次回からはもっとたくさんのお客様にトマトを切ってもらうために「試しに切ってみて!」ってPOPを作っていかなければ、と思っています。

次回のイベント出店は月末26、27日の『かみの町・いの・ひなまつり』です。

その翌週はまたまた『おかみさん市』。3月6日の帯屋町は『とさのおきゃく』も開催されるようなので人も出るはず。よし、いっぱい持って行こう。

あ、野菜じゃなくて包丁をね。

.

またまたオファーがありました。家庭教師の。中学二年生だそうです。大人気です。塾開こうかにゃあ。

あえて言いますけど、僕は鍛冶屋です。

鍛冶屋ですので、こんな包丁の注文がありました。

刃渡り10㎝くらいの小さな包丁。背中のカーブが重要とのこと。

土佐和紙の町いの町の役場の職員さんから(夏にお祭りの実行委員長やった効果やね)

「和紙の原料である楮(こうぞ)の皮をへぐる(剥ぐ)包丁」

『いの町雇用創造協議会』というところがお年寄りにアルバイト的に木の皮を剥いでもらうそうで、見本を借りて10丁作りました。
取りに来こられた時にまた10丁の追加注文。

数日後に追加分が出来たことを連絡すると
「刃がまっすぐの方が使いやすいようです。」

この前お渡ししたやつを使った後のご意見。
「んー、出来上がっちゅうがですけど…。」

「遅かったか。じゃあ取りにいきます。」

その後その包丁を見てくれた別の方からまたご注文。また20丁です。

今度は『ふるさとの楮を守る会』さんから「見本持って行きます。」って作ったのがこれ。(左が見本)

初めにやったのと微妙に形がちがいます。今度は刃のラインのまっすぐさが重要らしい。
「このラインが丸過ぎると使えんき。」
って言われたので、初めの20丁の役場の職員さんに連絡しました。

「○○さんからも注文もらったんですけどやっぱり刃のラインはまっすぐ目がえいらしいです。この前の20丁直しますのでかまん時に持って来てください。」

そしたらすぐに持って来てくれました。
やっぱり使い辛かったがやね。

で、刃のラインをまっすぐ目におとして砥ぎ直したのがこれ。

わかりにくいかにゃあ…。完全な直線ではないけどだいぶ丸みはなくなりました。

せっかくうちに注文もらったのに「使いにくいのう…。」って思われるのはよくないことですき。

それからまたご紹介で別の二人の方から個人的に5丁づつご注文いただきました。あっという間に仕事が降ってきます。

兎にも角にも、これで『へぐり包丁』(形は2種類)がレパートリーになりました。

が、どこへ宣伝してどこへ営業かけたらえいかわかりません。ほんのひと月で50丁になる需要はあるみたいですけど。

口コミ以外ない話です。

でもここで一応宣伝しましたので、楮(こうぞ)の皮をへぐる方、おられましたらご注文ください。

.

あ、忘れちょった。

去年の終わりにかずえちゃん(涼太の友達けんたのお母さん)に包丁のご注文をいただきました。

「いとこにプレゼントしたいきひとつ作っちょってー。」

ありがとうございます。
かずえちゃんはこのブログを読んでくれてるので

「忙しそうやき時間あるときでかまんで。あわてんき。」

その時は
「出来かけがあるき砥いで仕上げたらすぐ出来る!」って思うちょったのに

反比例とかsin30°の勉強したり、ONEPEACE読んだりしゆう間にすっかり後回し。

1ヶ月経っちゅう…。
ごめんなさい。
プレゼントのタイミング逃したがやないろうか…。

ハッと思い出して一昨日仕上げてもう後は柄をつけて箱に入れるだけになっておりますので今週末にはお届け出来ると思います。もうちょっとお待ちください。

「優しい言葉には甘える」という性質がありますのでお気をつけください…。

.

うれしいことがありました。

去年の5月に高知駅前の『とさてらす』にイベント出店した時にあるお客様に出会いました。
大豊町からの母娘連れのお客様でうちの包丁を見てもらっていろんなお話をしてその日はリーフレット渡しただけだったけれどなんとなく気に入ってもらえた気がしてました。手応えありな感じ。

そのお客様から二日程前に
「そちらは高知駅に出店してた刃物屋さん?」ってお電話いただき、本日ご来店。
その時見てくれてた菜切り包丁をお買い上げいただきました。8ヶ月後のお買い上げ。

「あの時チラシもらったけど失くしてしまって、確かいの町の刃物屋さんやったって記憶をたよりに電話帳で調べたり、娘にインターネットで調べてもらって探し当てた。」って。

うれしい。

遠いところ本当にありがとうございました。

イベント出店の大切さ、実際のその日の売り上げ以外の部分の大切さが実感できました。PRってこういうことや。接客した人を全部獲得できるわけではないけれどこうやって遠いのに探してまで来ていただけることもあるわけです。うん、本当にうれしい。

出会ったその日は必要なくても「あ、鋏欲しい。包丁欲しい。」って思った時に思い出してもらえるようにいろんな場所へがんがん出て行かんといかんし、思い出してもらえる職人でおらんといかん。そして何より、感じのいい兄ちゃんでおらんといかん。

そんなことをあらためて思いました。

こんな風に包丁ひとつ買うために大豊から探して来てくれる人もおる。

この前は10月の刃物まつりでたまたまうちの包丁買ってくれたお客様が「よう切れる!けんど落としてちょっと欠けたがやけど直るかえー?」って奈半利からわざわざお店まで来てくれたり。

東京から高知へ帰省する度に「砥いでー。」ってしっかり使ってくれてる包丁を持って来てくれる人もおる。

グローバリゼーションやね。

やっぱり精一杯の仕事しちょかんといかんろ。

ねぇ!

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「そこまで言うか…。おまえも偉うなったにゃあ…。」

こんなこと言わせてしまって一瞬ひるんでしまいましたが、それで良い方向に向かうのならばそれでえいじゃん。

あー、タタカッタ。

そんなセリフを引き出すくらいがんばって闘った証ということで。

結果を出さんと責任がのしかかるとこまでやっとたどり着けた感じです。

さぁ、いろいろ考えながらいっぱい仕事せんといかんぜよ。がんばる。

.

りょうじ(りんのチームメイト)のお母さんに聞かれたので書きます。

「パソコン直った?」

ご迷惑、ご心配をおかけいたしましたが復旧いたしましたのでご報告。

前回書いたセミナー後の懇親会の終わりに町長が声をかけてくれました。握手しながら

「町内のあちこちでおまんくの刃物を見かけるようになってうれしいぜよ。」

ありがとうございます。

3年前のあるイベントで町長さんの包丁を砥ぎ直したのが最初の関わりだったような…。

いの町商工会の青年部に誘われたのをきっかけに、町内のイベント・お祭り・会合に声かけてもらって都合の許す限り出続けた結果、いろんな方に出会うことができ、いろんな場所にうちの品を置かせてもらえてます。
今となっては町内だけでなく高知市内や県外へのイベント出店のお話なんかもいただいてます。

同業者の枠だけで過ごしてた頃とは違う繋がり、広がり。同業者や取引先との付き合いだけで工場にこもって仕事してたら全然種類の違う職人になっていたことでしょう。

いろんなところに顔出してきてよかったなぁと再認識。

町長さんとの握手でそんなことを思いました。

これからもどこへでも出て行きますのでどんどんお声かけください。
おそらくたぶんこれからは声をかける側にもなっていかんといかんがやろうなぁ…。

.

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