鍛冶屋日記
カテゴリー: つくり方
12年ぶりに『るるぶ』を買いました。旅に出ます。
「三日目」
鋼と地金がくっついたので、頭の部分を、またベルトハンマーで伸ばします。薄くし過ぎないように長さを出します。それから刃になる方を少しつぶして薄くします。(写真左)
次は「肩出し」。
今度はコークスの炉で肩になるところを焼いて、金槌で叩いて、写真のように形を作ります。
一番難しくて苦労した工程かも。ダメ出しも一番多かった気がする。
その後また頭の部分を軽く焼いて、金床(鋼の台)の上で刃の裏側が平らになるように金槌でならします。
こうやって書きよったら、焼いて叩いてばっかりや。
ここまでが「火造り」という作業。だいぶ形になってきました。
はい、三日目終了。
今日帰ったらりんくん宿題してませんでした。
びっくりしました。
「二日目」
前日最後に伸ばした鋼を程好い長さに切ります。
鋼は刃物の切れる部分。両刃の刃物なら中に挟み込みますが、鋏は片刃なので片面にペタッと貼り付ける感じです。
足を伸ばした地金に魔法の白い粉(こいつが鉄と鋼をくっつけます)を振りかけて、その上に鋼を乗せます。(写真左)
それをコークスの炉に入れて焼きます。(写真中)1200℃~1300℃にするということですが、目分量です。温度が高過ぎると溶けてしまうし、低すぎるとくっつきません。
で、よしっていう時に取りだして金槌でバンバンバンって叩きます。これでくっつきます。(写真右)
でも、くっついたふりして先とか元とか途中とかがついてないのがあります。これがキズです。研いでみないと分かりません。キズが出たらクズ鉄になります。今回みたいに200本やってればいいですが、特注品なんかを1丁作っててキズが出ると泣きそうになります。初めからやり直しですから。
これが「鋼付け」とか「沸かし付け」とか「鍛接」と呼ばれる作業です。
一番大事で一番熱い仕事です。
良い季節になりました。
二日目終了。
「寒いー。」って言いながら集金に来たJA職員である小学校の同級生がTシャツ姿の鍛冶屋を見て「…バカじゃない?」って言いました。
火ぃ焚きゆうき。
「一日目」
まず材料を適当な大きさに切りました(写真の右)。極軟鉄という材料で地金になる部分です。200本切ります。鋏はそれで100丁分です。損した感じ。
それから、切った材料を焼いて、足の部分をベルトハンマーで丸く伸ばします(写真の左)。くるくるくるくる伸ばします。
ベルトハンマーはこれ。足で踏み込むとダンダン叩いてくれる機械。この左側にガス炉があります。
その後、鋼(ハガネ)を焼いて、使う大きさに合わせて伸ばします。花鋏の鋼は小さいです。
ここで一日目終了。
ちょっと、ケガしたり遊んだり飲んだりばっかりになっているので、お仕事の話。
「鍛冶屋です。」「はさみ作ってます。」って言うと時々「一つ作るのにどればぁかかる?」「一日で何丁できる?」って聞かれます。芸術家ではないので一つ作ってまた一つって作り方はしません。なので答えに困ります。その謎を解いてみようと思います。
先週の金曜日から生花鋏を100丁作り始めました。作り方を説明、紹介しながらいつできあがるか検証してみます。他の製品の工程が入ったり、研ぎ直しの時間があったり、さぼりたくなったりするのでだいたいの目安ですけど。